暗号資産関連法案の成立、年末のわずかな会期にチャンス:米有力下院議員【Consensus 2024】
  • 米共和党のエマー議員は、今年中に暗号資産に関する大型法案が成立するチャンスは、議会会期末の限られた期間しかないと予測した。
  • 同議員は、暗号資産規制に対する下院での民主党からの大きな支持に言及したが、上院には大きな課題が残っていることを示唆した。

トム・エマー(Tom Emmer)米下院議員(共和党)は5月29日、暗号資産業界が最近、議会で大きな勝利を収めたにもかかわらず、法案は上院で大きな障害に直面していることを認めた。上院は法案に対して独自の考えを持っており、残された会期はほとんどないと同氏は述べた。

エマー議員はテキサス州オースティンで開催された米CoinDeskのカンファレンス「Consensus 2024」で、下院で承認された「Financial Innovation and Technology for the 21st Century Act(FIT21:21世紀のための金融イノベーション・テクノロジー法案)」にチャンスがあるとすれば、「そのタイミングはおそらくレームダック会期中」と述べた。レームダック会期とは、選挙終了後から、翌年1月に開かれる新議会までの期間。この期間は、交渉が急ピッチで進められ、法案が成立することがよくある。

共和党の多数派幹事として下院の最高指導者を務めるエマー氏は、下院で大きな支持を得たFIT21は現在、上院での審議段階にあると述べた。上院がFIT21を実際に取り上げる、もしくは同様の法案に真剣に取り組む場合、下院での再審議が必要となる。

「上院は法案を変更しようとするだろう。そうなれば、法案は下院で再び審議されることになる」とエマー氏は述べ、この法案やその他の暗号資産に関する問題に対して、民主党が大きな支持を表明していることを指摘した。

FIT21は、デジタル資産に関する包括的な法案として下院で初めて承認されたもので、バイデン大統領が反対したにもかかわらず、71人の民主党議員が賛成票を投じた。賛成した議員の中には、元下院議長のナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)議員もいる。

同様に、米証券取引委員会(SEC)の会計方針である職員会計公報第121号(SAB 121:Staff Accounting Bulletin No. 121)を覆そうとする別の試みも、下院と上院で多数の民主党議員の支持を得て通過した。上院多数党院内総務のチャック・シューマー(Chuck Schumer)議員(民主党)も含まれており、バイデン大統領はその決議に対して拒否権を行使すると表明した。

エマー議員は、暗号資産のこのような問題に対して「水面下で支持する議員は多く存在する」と述べた。

同氏は、ホワイトハウスに多大な影響力を持つ「アンチ暗号資産派」のエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員(民主党)を追い込む出来事が起きていると述べた。

また、暗号資産に批判的なゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)SEC委員長は「辞任間近」にあり、政権内での支持も失っていると述べた。

だが、エマー議員は「追い詰められた人物を信用するのは非常に危険だ」と警告している。

|翻訳:廣瀬優香
|編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像;Consensus 2024に登壇したエマー議員(キャプチャ)
|原文:U.S. House’s Emmer Says Best Hope for Crypto Legislation Is Year-End Session