ビットコイン月足チャート
- ビットコインの5月の月足はほぼ陽線で確定しています。今月は11%ほど上昇しており、4月の下落分を帳消しにしました。現在は1070万円近辺で取引されています。今月は価格が一時1100万円の大台にタッチし、過去最高値を更新しました。4月は短期的な利益確定売りに押される動きとなり、5月前半は下落の流れが発生しました。一方、6ヶ月移動平均線(6EMA)で反発すると一気に高値を更新しました。月足は4月のチャートから一変し、強気な状態となっています。
ビットコイン週足チャート
- 5月の始めの週足は、4月の下落の流れから陰線を記録しました。8週移動平均線(8EMA)を下回る展開となりました。一方、2週目に入ると買い戻しが入り、3週目には高値を更新しました。現在も移動平均線を上回っており、強気のチャートとなっています。現在は高値圏の1100万円近辺がレジスタンスとなっています。今週は5月の最終週となっていますが、やはりレジスタンスで上値が重くなる動きが見られます。オシレーター系インジケーターのMACDは遅行線を下回っており、モメンタムはまだ上昇基調にはないことを示しています。チャート全体としては強気である一方、高値圏の上値の重さには注意です。
デリバティブ指標
- ビットコインの無期限先物取引におけるファンディングレート(FR)は足元で上昇傾向にあります。ロングポジションの比率が上昇していることを示しています。レンジスタンス近辺でロングポジションが上昇すると、レジスタンスを抜けることが難しくなる傾向があります。5月後半の上値の重さはFRの上昇が一因となっています。逆に4月の底値近辺ではFRがマイナスとなる場面もあり、反発に繋がりました。現在の相場は底堅い一方、上昇の勢いがイマイチ欠けており、FRのクールダウンが必要でしょう。
株式市場はやや軟調な動き
- 今年はアメリカでビットコインの現物ETFの取引が開始されるなど、暗号資産市場には機関投資家の割合が増え、株式市場との連動性が高まっています。足元の株式市場(週足チャート)は半導体大手のNVIDIAの株高が影響し、Nasdaqは最高値圏で推移しています。
一方、日経平均やDow平均は今週、週足の移動平均線(14EMA)を割り込み始めています。米長期金利が足元で上昇していることから株式市場は一部を除いて軟調な動きが見られます。株式市場の軟調さがビットコインの上値を抑えている可能性があります。米金利の上昇が続けば、6月もビットコインへの資金流入は限定的になることが予想されます。
まとめ
- 今月のビットコインは過去最高値を更新し強い相場となりました。4月は大きく売られたことから押し目買いが入りました。一方、現在の相場では上値の重さが目立ってきており、6月に向けてやや相場に不安が残る動きとなっています。4月時点で5月は底堅い動きを予想していましたが、高値を大きく更新していく相場とはなりませんでした。
米株市場の軟調な展開が続くと、6月のビットコイン価格も再度押し目を付けにいく展開も予想されます。短期的には高値圏では買いづらい状況となっており、押し目があれば徐々に買っていきたいところです。対円では1000万円近辺は押し目買いのポイントとして意識されるでしょう。
|文:真田雅幸/bitbankマーケット・アナリスト
|編集:CoinDesk JAPAN編集部
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