世界最大級の資産運用会社フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton:シリコンバレーに拠点を置き、運用残高は1.6兆ドル、約250兆円)は、デジタル資産分野への参入を進める伝統的金融大手の先陣を切っている。
「我々はブロックチェーン技術を調査し、これは変革をもたらすものであり、理解すべきものだと確信した」と社長兼CEOのジェニー・ジョンソン(Jenny Johson)氏は5月30日、米CoinDeskが主催する「Consensus 2024」で語った。
だからこそ同社はイーサリアム(ETH)、カルダノ(ADA)、ステラルーメン(XLM)などの12の異なるブロックチェーン上で約30のバリデータノードを運用していると同氏は述べた。12という数は、同社ウェブサイトに記載されている6つのチェーンよりも多い。サイトには、ポルカドット(DOT)、ソラナ(SOL)もあげられている。
RWAトークン化
同氏は、ブロックチェーン技術の主な魅力は、取引の記録と照合の効率性、コスト削減の可能性にあると説明した。
「現在、フランクリン・テンプルトンには、システム間のデータを照合するためだけにかなりの人数、数百人もの人員が存在する。取引先や他の会社との照合も必要だ」
ブロックチェーンは単一の「真実の情報源」を提供し、従来プロセスよりも取引のタイミングを正確に記録するため、コスト削減と管理作業の軽減を実現すると同氏は述べた。
「我々は、提供しているサービスのコストを削減するよう、常にプレッシャーを受けているビジネスに従事している」
ブロックチェーンのメリットを活かせる一例がトークン化だ。トークン化によって、ファンドや債券などの現実世界の資産(RWA:real-world-assets)をデジタル資産として扱うことができる。フランクリン・テンプルトンはこの分野のパイオニアであり、2021年にステラネットワークを使ってオンチェーンで利用可能な初のマネーマーケットファンド(MMF)をスタートさせた。ブラックロック(BlackRock)などの競合が参入する数年前のことと同氏は述べた。
ビットコインETF
フランクリン・テンプルトンは2024年1月、アメリカで現物ベースのビットコインETF(上場投資信託)を上場することが承認された11の発行体のうちの1つであり、イーサリアム現物ETFについても承認を待っている。
ジョンソン氏は、多くの人々が政府の差し押さえに対抗できる銀行システム外の資産としてビットコイン(BTC)に興味を持っているが、ETFはこの分野に投資するための分かりやすい手段を提供すると述べた。
「私にとって、これは選択の手段」とジョンソン氏。
「ETFは規制された手段であり、ETFでなければこの分野で取引しなかったであろう多くの人たちに安心感を与えるものだ」
|翻訳・編集:増田隆幸
|画像:Consensus 2024で語るジェニー・ジョンソン氏
|原文:Franklin Templeton’s Jenny Johnson on Bitcoin ETFs, RWA Tokenization and Blockchain’s Potential for TradFi