プログマ、ステーブルコインのグローバル展開に向けた戦略的第一歩──複数ブロックチェーン間の移転取引に成功

Progmat(プログマ)とDatachain(データチェーン)は、Progmatのステーブルコイン発行管理基盤「Progmat Coin(プログマコイン)」を用いて発行されるステーブルコインの提供およびAUM(運用資産残高)の最大化に向けての協業を発表した。具体的には、従来からのマルチチェーン/クロスチェーン展開に加えて、ステーブルコインのコントラクト開発およびグローバルマーケットでの事業開発を協働して進めるという。

ステーブルコインの標準機能に関するスマートコントラクト開発はすでに完了し、テストネット環境における複数ブロックチェーン間のステーブルコインの移転にも成功。今後、国際的なユースケース創出をはじめ、「Progmat Coin」を用いて発行されるステーブルコインのグローバルスタンダード化に向けて連携を強化するとしている。

リリースをその背景も含めて、読み解いていくと、ステーブルコインの市場規模(時価総額)は2024年5月時点で、1600億ドル(約25兆円、1ドル155円換算)を超えている。特にTether社が発行するUSDTは、2024年第1四半期の純利益が45億ドル(約7000億円)に達している。

だが、USDTは規制対応や裏付け資産の信頼性などへの懸念が長年指摘され、今後、ステーブルコインの活用が期待されているグローバルな企業間決済にはハードルが多いと考えられている。

またUSDTに次ぐ時価総額第2位、米Circleが発行するUSDCは信頼性の高いステーブルコインとして評価されているが、それでもドル連動を逸脱したこともあり、不安定さが指摘された。

ProgmatとDatachainの取り組みは、この数年、グローバルでも評価が高まっている日本の規制の先見性、予見可能性を生かして、国際的に信頼性の高い金融機関が手がける安心・安全なステーブルコインを発行し、USDCなど、グローバルな企業間決済への利用が想定されるステーブルコインとの移転取引を実現することで、Progmat Coin基盤のステーブルコインの利用拡大を図るものと言える。

またProgmat Coin基盤は、日本円のみならず、米ドル、ユーロなどを裏付け資産としたステーブルコインの発行が可能で、リリースにも「グローバル市場を見据えた展開を想定している」とある。

前述したように、すでに複数のパブリックチェーン(EthereumとBNB Chain)のテストネット環境において、異なるブロックチェーン間でステーブルコインの移転取引が正常に実行されることが確認できているという。

移転取引には、Burn-Mint方式を採用。リリースでは、現時点では、USDCしか同方式を実現できていないとしており、今回の取り組みは、異なるブロックチェーン間の移転取引という最新機能を実装することで、グローバルでのプレゼンス獲得を狙うための第1歩と言えるだろう。

|文:増田隆幸
|画像:リリースより