ブロックチェーンは未来のハンコ?個人情報、自分で管理──ビットフライヤーが開発中

いま、様々な企業が膨大な個人データを保有している。データは簡単に複製できて、SNS上では著名人のなりすましも横行する。

こうした課題をブロックチェーンで解決することを目指すサービスの開発を、ビットフライヤー・ブロックチェーンが進めている。

サービスの仮称は「bPassport」。確認済みの氏名、性別、生年月日、住所、IDなどの個人データをブロックチェーンに記録し、個人が管理する。

ポイントカードの作成、会員証の発行などで必要なときは、スマートフォンのアプリ個人データを企業に提供する構想だ。

同社のCEOを務める加納裕三氏が10月2日、東京・目黒で開かれたカンファレンス「b.tokyo 2019」での講演で明らかにした。


「ブロックチェーンIDを提唱しています。ブロックチェーンであれば、必ず本人であることを証明できる」

加納氏は、講演の中でこう強調した。

「出したい情報だけ出せばいい。出したくない情報は出さなくていい」(加納裕三氏)

ビットフライヤー・ブロックチェーンが明らかにしたのは、次のような構想だ。

たとえば個人の氏名やIDは、銀行に本人確認をしてもらう。あるいは、住所については住民票で確認するなど、各項目を確認をしたうえで、ブロックチェーン上に記録する。

「いままで、(SNSなどで)偽アカウントがつくられても、言っていることが変だとか、そういったことで判断していた。でも、こういうものがあれば、本人のアカウントだということができる」と加納氏は話す。

ブロックチェーンIDにパスポート

ブロックチェーンが備える特性のひとつにデータの「唯一性」があると言われる。

お金が複製できるのなら、好きなだけビットコインをコピーすればいい。しかし、改ざんがほぼ不可能とされるブロックチェーン上にデータを記録し、データの唯一性を確保することで仮想通貨の取引は成り立っている。

こうしたブロックチェーンの特性を個人データに応用するのが、bPassportの構想と言えるだろう。

だれかのIDはひとつしかないことが、ブロックチェーン上に書き込まれていれば、同じ名前や写真を使ったアカウントがつくられても、「偽のアカウントだ」と指摘することができる。

たとえば、正式な手続きを経て区役所が作成した住民票には、区長の印鑑が押される。自分の印鑑だと証明するには、区役所に印鑑と本人をひも付けた印鑑証明を発行してもらう。

確認済みの情報には責任者の印鑑が押されるが、ビットフライヤー・ブロックチェーンが開発を進める新サービスは、ブロックチェーンを印鑑証明のように使うものだとみることもできるだろう。

確認を終え、ブロックチェーンに記録された情報は、個人がスマートフォンのアプリで管理する。家電量販店でポイントをつくるときはアプリを開き、必要な個人情報を提出する。

加納氏は「出したい情報だけ出せばいい。出したくない情報は出さなくていい」と言う。

将来的には、ブロックチェーンIDにパスポート、運転免許、SNSのアカウントなどさまざまな情報をひも付けていきたいという。

サービス開始の時期について、ビットフライヤー・ブロックチェーンの広報担当者は「現時点では明らかにできない」としている。

文・写真:小島寛明
編集:佐藤茂

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