ビットコインはまだ強いが、マクロ要因がリスクをもたらす:アナリストが指摘
  • 債券利回りの上昇がビットコインにリスクをもたらすと、暗号資産トレーダーのチャン氏がCoinDeskに語った。
  • ゴールドマン・サックスによると、現在の債券利回りの水準は、すべての資産に重くのしかかる可能性があるという。

ビットコイン(BTC)は過去最高値をわずかに下回る高値水準で推移しており、典型的な一時的な強気相場の休止を示唆しているが、少なくとも1人のオブザーバーは、最近のマクロ経済情勢が高値更新を阻害する可能性を懸念している。

暗号資産オプショントレーダーでマーケットアナリストのチャン(Chang)氏は、CoinDeskのインタビューに対し、「ビットコインはまだ強いが、マクロ要因が脅威となっている」と述べた。「米国債の発行に比べて需要が弱いため、債券利回りは非常に不安定だ。ビットコインにマイナスの影響があるとすれば、利回りとドルインデックスによるものだろう」。

米国債利回りは上昇しているが、これは主に米国の債務懸念が根強く、債券供給が急増し、日本国債利回りが上昇したことによる。TradingViewのデータによると、ベンチマークである10年物国債の利回りは2週間で0.24%上昇し、4.55%となった。伝統的な市場アナリストの中には、4.7%を超えるような動きは株式市場にボラティリティをもたらす可能性があると指摘する者もいる

他の条件が同じであれば、利回りの上昇は個人や企業の借入コストの上昇につながり、ビットコインやテクノロジー株のような比較的リスクの高い資産への投資の魅力を損なう。チャン氏は、6月も利回りは不安定に推移し、ビットコインと株式は密接な相関関係にあると予想している。

2年物国債利回りはすでに5%に近づいている。安全な投資先とされる国債で5%のリターンを確保できれば、マクロトレーダーは株式や暗号資産(仮想通貨)など、金融市場のリスクの高い場所から資金を移動させるよう説得されるかもしれない。

ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)のピーター・オッペンハイマー(Peter Oppenheimer)氏は、5月30日のブルームバーグ・サーベイランスで、「債券利回りは、これ以上上昇するとすべての資産クラスに重くのしかかる水準にある」と述べた

そのため、トレーダーは個人消費支出(PCE)価格指数を注視し、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の金利の方向性を見極めたいところだ。FRBが好んで使用するインフレ指標であるこのデータは、31日のアメリカ東部標準時の午前8時半(協定世界時午後12時半、日本時間午後9時半)に発表される予定だ。

ファクトセット(FactSet)のコンセンサス予想によると、4月のPCE価格指数は年率2.7%上昇し、3月と同じと予想されている。前月比では、3月の0.32%上昇に続き0.3%上昇と予想されている。食品価格とエネルギー価格を除いたコアPCEのコンセンサスは、年率2.8%増、前月比0.3%増だ。

「今日の最も重要なイベントはPCEだ。FRBが大好きなデータだ。FRBが言う2%のインフレ目標はCPIではなくPCEだ。もしデータが予想を上回れば、人々はリスク資産を買わなくなるだろう」とチャン氏は話している。

コアインフレ率が予想以上に上昇すれば、利下げ観測は弱まり、債券利回りはさらに上昇する。記事執筆時点で、FF金利先物は投資家が今年の利下げを0.35%と予想していることを示していた。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Is Still Strong, but Macro Factors Pose Risk, Crypto Analyst Says