メタマスク、プール型ステーキングを提供──リキッドステーキングトークンは発行せず

イーサリアム(ETH)で最も人気のあるウォレット、メタマスク(MetaMask)は、今週からユーザーに「プール型ステーキング(Pooled Staking)」機能を提供する。これにより、完全なバリデーターノードを実行する場合と比較して、ブロックチェーンネットワークのセキュリティに貢献するコストが安くなるという。

この新機能により、ユーザーは低コストでイーサリアムのステーキングに参加できるようになる。ステークとは、トークンをブロックチェーンのアドレスに預けることで報酬を得る、人気の暗号資産(仮想通貨)投資戦略だ。イーサリアムのような「プルーフ・オブ・ステーク」ブロックチェーンでは、ステークがネットワークの安全性を維持する主な方法になっている。

「プール型ステーキング」により、メタマスクのユーザーは、企業レベルのセキュリティでETHを簡単にステークできるようになる。

「ステークホルダーは、ETHを完全に管理しながら、報酬を獲得し、イーサリアムをより安全なものにすることができる」と、メタマスクの開発元であるコンセンシス(ConsenSys)の上級プロダクトマネージャー、マシュー・セイント・オリーブ(Matthieu Saint Olive)氏は声明で述べている。

イーサリアムでのステークは、従来、ユーザーが32ETHをネットワークに預け入れる必要があった。現在の市場価格では約11万2000ドル(約1736万円、1ドル=155円換算)に相当する。リド(Lido)、ロケット・プール(Rocket Pool)、そして新たにメタマスクのような「プール型」サービスを利用すれば、複数の人の資産をまとめてステークに回すことで、32ETHを投じなくてもステークすることが可能になる。

メタマスクのステーク機能は、ステーク、トレード、ステーク投資のモニタリングを1つのインターフェースで行いたい個人トレーダーにとって、嬉しい驚きとなるかもしれない。

しかし、コンセンシスは業界他社に遅れをとっている。メタマスクはステークを導入した最初の暗号資産ウォレットではなく、既存のプール型ステークプラットフォームが差別化を図って導入してきた機能の一部が欠けている。

最も顕著な例として、リドとロケット・プールは、ユーザーが預けた資金に対して「リキッドステーキングトークン(LST)」と呼ばれるトークンを提供しており、分散型金融(DeFi)プロトコルに貸し出したり、再投資したりすることができる。リド(Lido)のLSTは、暗号資産取引で人気の高い資産のひとつだ。

メタマスクは、プール型ステークサービスの一環として独自のLSTを提供する予定はないという。

また、コンセンシスによると、この新しいステーク機能はアメリカとイギリスでは利用できない。同社は「これらの地域でも市場に投入することを目指している」と声明で述べている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:メタマスクの開発者、ジョー・ルービン氏(Shutterstock/CoinDesk/Suzanne Cordiero)
|原文:MetaMask Adds ‘Pooled Staking’ for Cheaper Ethereum Validation