周縁から最前線へ──機関投資家が暗号資産を受け入れ

劇的な変化により、金融業界は大きく変貌しつつある。かつては技術的な好奇心の周縁に過ぎなかった暗号資産(仮想通貨)は今や世界的にかなりの投資を集めている。

1月にビットコインETF(上場投資信託)がアメリカでデビューし、イーサリアムETFの登場も予想されていることが、この急速な採用(受け入れ)をあと押ししている。ETFは、人々が慣れ親しんだアクセスしやすい入口を提供し、機関投資家による大量の資金流入のきっかけとなっている。

機関投資家にとっての暗号資産の魅力は多岐にわたる。まず、新しい資産クラスの誕生に参加できる一世代に一度のチャンスを提供する。これまでの金融イノベーションとは違い、暗号資産は明確な市場を形成しており、比類のない成長の可能性を提供している。さらに投資ポートフォリオの多様化(分散化)に役立つという利点もある。

分散投資ツールとしての魅力

ビットコインとナスダックの相関関係を見れば、分散投資ツールとしてのビットコインの有用性は明らかだ。相関関係は変動しており、現在は0.60で、2カ月前の0.0から上昇している。

最近の上昇にもかかわらず、2024年のビットコインとナスダックの平均相関は0.30と依然として低い。比較的弱い相関関係は、暗号資産が分散投資ツールとして機能する可能性を強調し、株式市場に対するヘッジとなり、バランスの取れた投資ポートフォリオの全体的なレジリエンスを高める。

BTCとナスダック総合指数(青)、S&P 500(緑)、金(紫)の30日間ピアソン相関係数(The Block)

だがどの暗号資産を、どのような割合でポートフォリオに組み入れるかは、極めて重要な検討事項だ。何千もの暗号資産が乱立しているが、機関投資家のポートフォリオに組み入れる価値があるものはごく限られた数種類だけだ。

ビットコインとイーサリアムは不可欠。さらには、ソラナ(SOL)やチェーンリンク(LINK)なども潜在的リスクを軽減するために、慎重かつ積極的な運用が必要だが考慮すべきだ。こうしたバランスの取れたアプローチにより、暗号資産投資は慎重かつレジリエントなものとなる。

リスクを抑えて投資するための方法

CoinDesk 20のようなインデックスへの投資は、特に分散投資とリスク管理の面で複数のメリットがある。CoinDesk 20 Indexは設計上、時価総額上位20の暗号資産のパフォーマンスと連動し、単一暗号資産への投資と比較して本質的にボラティリティを低減する。

この分散により、1つの資産における急激な価格変動の影響を軽減し、よりスムーズな投資体験を提供する。四半期ごとのリバランスにより、インデックスがより広範な市場を代表し続け、変化に適応し、進化する資産クラスへのバランスの取れたエクスポージャーを維持することが保証されている。

BTC(橙)、ETH(緑)、CoinDesk 20インデックス(白)の年初来パフォーマンス(CoinDesk Indices)

暗号資産の世界をうまく渡っていくには、大きなハードルがある。つまり、直接投資やセルフカストディは高度な専門知識が要求されるため、初心者にはお勧めできない。ほとんどの場合、信頼できる資産運用会社と協力することが最も賢明なアプローチだ。

信頼できる資産運用会社は、投資プロセスを合理化し、簡単で効率的なものにしてくれる。さらに、機関投資家のポートフォリオを合理的な戦略へと導き、流動性、カストディ、セキュリティといった複雑な問題に処理してくれる。

暗号資産市場は、単に物珍しいものという初期の評価を超え、現代金融エコシステムにおける強力な勢力として台頭している。

先見の明のある機関投資家は、この急成長する資産クラスを活用するためのポジションを取っている。暗号資産に積極的に資本をアロケートすることで、機関投資家は、市場が成熟し、暗号資産がより広範な金融環境に組み込まれるにつれて、大きな優位性を確保できる。

内在する課題にもかかわらず、暗号資産は分散投資と大きな成長の可能性を提供し、専門家である資産運用会社との連携で、リスクは管理可能なものとなり、チャンスは見逃すにはあまりにも魅力的なものとなる。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Sawyer Bengtson/Unsplash
|原文:Fringe to Forefront: the Institutional Embrace of Digital Assets