米大手銀行はフェイスブック(Facebook)の仮想通貨「リブラ(Libra)」への反対をこれまで十分に表明していなかったかのように、不満を中央銀行への公式な苦情という形で示した。
米大手銀行の幹部らは、連邦準備制度理事会(FRB)に対して、リブラはアメリカの金融政策に脅威を及ぼすと述べた。ブルームバーグ(Bloomberg)が報じた。
「フェイスブックは、認可を受けた金融市場の外側にデジタル金融エコシステム、つまり『影の銀行』システムを潜在的に構築している可能性がある」とブルームバーグが入手した2019年10月の連邦諮問委員会(Federal Advisory Council)の議事録によると、銀行幹部らは述べた。
「消費者がリブラを受け入れるにつれて、より多くの預金がリブラへ流れ込み、実質的に流動性が低下する可能性がある。預金の流出はさらにローンや投資サービスに広がるかもしれない」とブルームバーグは伝えた。
ブルームバーグによると、諮問委員会のメンバーには、M&Tバンクのルネ・ジョーンズ(Rene Jones)氏、キーコープ(KeyCorp)のベス・ムーニー(Beth Mooney)氏、バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)のブライアン・モイニハン(Brian Moynihan)氏など、CEO(最高経営責任者)らが名を連ねている。
幹部らが反発する一方で、共和党のフレンチ・ヒル(French Hill)下院議員(アーカンソー州選出)と民主党のビル・フォスター(BIll Foster)下院議員(イリノイ州選出)は、FRBへの書簡の中で同様の懸念を表明し、ジェローム・パウエル(Jerome Powell)FRB議長にデジタルドルの作成を検討するよう求めた。
7月、パウエル議長はリブラ構想はプライバシー、マネーロンダリング、消費者保護、金融安定など「多くの重大な懸念」を生むと、議会証言で述べた。
公聴会では、シェロッド・ブラウン(Sherrod Brown)上院議員(オハイオ州選出)も、リブラの生みの親デビッド・マーカス(David Marcus)氏に対して、ケンブリッジ・アナリティカからミャンマーでの大虐殺まで数多くのスキャンダルを例示して、フェイスブックは信頼できるのかと疑問を投げかけた。
「フェイスブックはリブラ計画を止めるべきだ」とブラウン議員はヤフー・ファイナンスのインタビューで述べた。
フランスでは9月、ブリュノ・ルメール(Bruno Le Maire)経済・財務相がフランスはヨーロッパからリブラを締め出すと述べた。
「完全に明確にしたいと思う。このような状況で、我々はヨーロッパでのリブラの開発を許可することはできない」とルメール経済相はフランス・パリで開かれた経済協力開発機構(OECD)のブロックチェーンと仮想通貨に関する会議の冒頭で述べた。
スイスなど他のEU諸国の金融当局も、リブラが自国で許可されたとしても、高いレベルの監視を行うと述べた。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Libra image via Shutterstock
原文:American Banking Giants Sound Off Against Libra as Monetary Threat