地方創生、地域活性化のツールとして、ブロックチェーンを基盤とする分散型(Web3)アプローチが注目されている。限界集落の山村から財政破綻に追い込まれた都市、瀬戸内海の風光明媚な町、インバウンドに沸く古都・京都などが、NFTやメタバース、DAO(分散型自律組織)などの導入検討を本格化しているが、現状はどうなっているのか? 課題はどこにあるのか?
CoinDesk JAPANを運営するN.Avenueが2023年7月より展開している、Web3をリサーチする大手企業のビジネスリーダーを中心とした限定有料コミュニティサービス「N.Avenue club」。5月23日には、ラウンドテーブル Vol.11を「地方創生のWeb3アプローチ」をテーマに開催した。
前回から登壇者のプレゼンテーション、質疑応答に加えて、参加会員が議論し、内容を消化・深化させる時間を設定した。
ラウンドテーブルは会員限定のクローズ開催のため、ここでは当日のプレゼンテーションや議論の様子について、アウトラインを紹介する。
【N.Avenue club 5月ラウンドテーブル】地方創生のWeb3アプローチ:社会実験を通じて見えてきた手法と課題
地方創生、地域活性化のリアルな現状を伝えてもらうため、ローカルベンチャー支援やまちづくり・地域開発を展開するNext Commons(ネクスト・コモンズ)の林篤志氏によるリモートでのプレゼンテーションからスタート。
現在、「ローカルコープ」(Local Coop、第二の自治体)をつくることに注力しているという林氏は、全国で規模の小さな自治体が直面している厳しい現実を紹介。地域住民やステークホルダーを巻き込みながら、行政や民間が担えない部分を担うローカルコープの重要性、さらに外部からの資金調達や関係人口の創出、地域に必要なサービスの実際の運営などについて語った。
次に、預金型ステーブルコインの発行で注目される北國銀行の今津雄一郎氏(北國銀行 デジタル部 デジタルグループ長)が、北國銀行を取り巻く状況やステーブルコイン発行に至る背景を説明。キャッシュレス化を通して、地域を活性化するために地元自治体と連携して進めていること。年初の能登半島地震後、早い段階でキャッシュレス決済の使用が確認できたことなどを伝えた。
京都府総合政策環境部副部長の西村敏弘氏は「京都府は少子化ワースト2」という現状を紹介。この10年で、人口が7万人以上減少し、市が1つなくなったくらいのインパクトがあると述べた。地域の企業がダイレクトに海外と取引することが重要になっており、「スマートシティ×Web3.0によるトークンエコノミー」構想を推進していることに触れた。
なお、京都からは仁和寺・管財課課長の金崎義真氏もゲストとして参加し、仁和寺が取り組んでいるデジタル化の取り組みを紹介した。
その後の質疑応答や参加者によるディスカッションでは、実際に参加者が各地域で取り組んでいる事例をもとにした議論や、NFTを使った取り組みやその問題点、「ふるさと納税」への活用など、さまざまなテーマを話し合った。
毎回、クローズドな環境で、ディープな議論が繰り広げられる「btokyo club」。Web3領域でのビジネスにご関心のある方、実際にWeb3ビジネスを推進されている方は、ぜひ、以下のボタンからお問い合わせください。
|文・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|写真:多田圭佑