フェイスブック(Facebook)が主導する仮想通貨「リブラ」プロジェクトを推進する、リブラ協会(Libra Association)から創設メンバーの1社が、脱退するかもしれない。
フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)が10月3日(現地時間)に報じたところによると、決済サービス提供企業のペイパル(PayPal)は、リブラがここ数カ月間受けてきた規制当局による反発もあり、プロジェクトからの撤退を検討しているという。
フィナンシャル・タイムズによると、ペイパルの関係者らは10月3日(現地時間)に開かれたリブラ協会の会合に出席しなかったという。より大きな混乱の兆候かもしれない。
フェイスブックがリブラを最初に発表したのは今年6月で、銀行口座を持たない10億人以上の個人に、どのスマートフォンからでもアクセス可能なステーブルコインを通じて、金融サービスを提供するという壮大な野望を明らかにしていた。
プロジェクトの一環として、リブラはフェイスブック及びその子会社カリブラ(Calibra)を含む100のメンバーからなる運営協議会によって監視される。ペイパル、ビザ(Visa)、マスターカード(Mastercard)、ウーバー(Uber)その他22社の著名な決済サービス企業などが、リブラ協会と呼ばれる協議会の設立メンバーとして名を連ねている。
リブラ協会のポリシー・コミュニケーション担当責任者のダンテ・ディスパルテ(Dante Disparte)氏は、リブラのようなプロジェクトの構築は「簡単な道のりではない」とフィナンシャル・タイムズに声明で述べた。この声明は、CoinDeskにも共有された。
「我々は、変化は困難であり、この旅路を歩み始めた各組織は、リブラが約束する変化を最後までやり通すことにコミットするリスクと恩恵につき、独自で評価しなければならないことを認識している」と同氏は語った。
本件の発覚は、ビザ及びマスターカードもプロジェクトからの撤退を検討しているというウォールストリートジャーナル(Wall Street Journal)の報道を受けたものだ。ペイパル同様に、これら企業は、リブラに対する規制当局の反発と精査が、自社の既存事業にも及ぶことを懸念している可能性がある。
カリブラのCEO、デービッド・マーカス(David Marcus)氏自身もペイパルの前社長だが、ツイッター(Twitter)上でウォールストリートジャーナルの記事に触れ、「特定の組織が歩みを止める計画であるとは承知していない」と書いた。
そして同氏はこう付け加えている。
今回の報道のトーンには不安なども見られる。(中略)リブラがデジタル通貨の価値に関する議論を全面に打ち出したことで生じた当然の懸念に、我々は大いに落ち着きと自信を持って取り組んでいる
ペイパルの広報担当者にコメントを求めたが、すぐには回答を得られなかった。
翻訳:新井朝子
編集:T.Minamoto
写真:David Marcus image via U.S. Senate Banking Committee
原文:PayPal Might Withdraw From Libra Association: Report