コナミデジタルエンタテインメントが、ブロックチェーンのアバランチを採用し、自社で開発してきたNFT(非代替性トークン)のソリューション基盤を外部の企業が利用できるようにする。
コナミグループの子会社で、ゲーム開発を行うコナミデジタルエンタテインメントは6月20日、同社が開発したNFT提供ソリューションの「リセラ(Resella)」にパブリックチェーンのアバランチ(Avalanche)を採用したと発表した。
コナミに加えて、ソニーグループやスクウェア・エニックス・ホールディングスなどの国内大手ゲーム会社は、ブロックチェーンを基盤技術にする、いわゆる「Web3ゲーム」の研究開発を進めている。
過去数年間、プレイすることでトークンを取得できる「Play-to-Earn(P2E)」型ゲームの開発が、海外のスタートアップを中心に活発となり、投機を目的としたプレイヤーの数は急増した。今後は、ゲーム自体を楽しむことのできる持続可能なWeb3ゲームを、既存のゲーム会社がいかに開発するかに注目が集まる。
リセラを導入することで、ゲーム会社や消費者向けのサービスを提供する企業は、NFTの設計や発行、販売を行うことができる。また、ユーザー同士がNFTを売買するマーケットプレイスを、企業のWeb3サービス内に設置することも可能だ。
一方、消費者(ユーザー)にとってもメリットがあるという。ユーザーはWeb3用の外部ウォレットを開設する必要はなく、暗号資産(仮想通貨)取引に関する専門知識も不要で、日本円で取引することができる。コナミは今後、リセラの海外利用も拡大させる方針だ。
NFTは一つ一つのトークンにそれぞれの個性があり、価値が異なる。一方のFT(代替性トークン)は、枚数(数量)によって価値を示し、国内の法律では多くのFTが暗号資産(仮想通貨)として規制されている。
コナミはWeb3ゲームの世界をどうリードする?
コナミと言えば、カードゲームの「遊戯王」や、野球ゲームの「パワフルプロ野球(パワプロ)」と「プロ野球スピリッツ(プロスピ)」がロングランのヒット作品として知られている。サッカーゲームの「eFootball(旧名称はウイニングイレブン)」も人気を集めている。
コナミグループは年間で約3600億円を売り上げ、時価総額は1.6兆円。国内の大手上場ゲーム会社の売上高ランキングでは、ソニーグループ(連結ベースで13兆円/ゲーム&ネットワークサービスの売上は4.27兆円)、任天堂(1.67兆円)、バンダイナムコホールディングス(1.05兆円)を追う格好だ。
コナミグループの売上の7割を占めているのはデジタルエンタテインメント事業で、ブロックチェーンを活用したWeb3ゲームの開発にも注力している。
リセラの他に、コナミは「プロジェクト・ジルコン(PROJECT ZIRCON)」と名付けたWeb3プロジェクトを昨年に発表した。架空の惑星を舞台に、新しいゲームをユーザーと一緒に作るというコンセプトで、参加者をDAO(分散型自律組織)のようなコミュニティに集め、コナミとユーザーが協力してゲームの設計や開発を行う。
今回の発表では、ユーザーへのガス代(ブロックチェーン上の取引に伴う手数料)の発生をなくし、安定的な速度で処理できるリセラを提供するためにアバランチを採用したと、コナミは説明している。
過去5年間、イーサリアムがスマートコントラクトに対応するブロックチェーンの領域を圧倒してきたが、ソラナやアバランチなどは「イーサリアムキラー」とも呼ばれ、存在感を強めてきた。
アバランチは、米国のコーネル大学でコンピュータサイエンスを研究してきたEmin Gun Sirer氏がその開発を主導してきた。同氏はアバランチの開発を支援するAva Labs(アバラボ)を創設し、現在最高経営責任者(CEO)を務めている。
今年3月にはゲーム開発のネクソン(NEXON)が、大規模マルチプレイヤー・ロールプレイングゲーム(MMORPG)「メイプルストーリー(MapleStory)」のブロックチェーン版の開発で、アバランチを採用したと発表した。
IVS CRYPTO 2024 KYOTOで詳細発表
なお、「リセラ」の機能や複数サービス間のNFTの相互利用、アバラボ(Ava Labs)との取り組みについては、「IVS CRYPTO 2024 KYOTO with Japan Blockchain Week Summit」内のステージ「KONAMI リセラ NFT Solution on Avalanche」で7月5日に発表を行う予定だ。
また同日5日夕刻から、京都府の協力のもと「KONAMI リセラ Vision with 京都府 @IVS2024 Official Side Event」と題したオフラインイベントを京都市内で開催。イベントには、自民党デジタル社会推進本部web3PT座長の平将明衆議院議員、京都府デジタル戦略政策部の西村敏弘氏も参加、パネルディスカッションやネットワーキングを実施するという。
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|文:CoinDesk JAPAN編集部
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