ビットコインのドミナンス、5カ月ぶりの低水準──マウントゴックスの影響か
  • ビットコインのドミナンスは、マウントゴックス(Mt. Gox)に関するニュースが重しとなり低下した。
  • 短期オプションでは、プットオプションや下落リスク回避への偏りが再び見られる。
  • 一部の市場関係者は、マウントゴックスに関する懸念は誇張されている可能性があると指摘。

ビットコイン(BTC)は通常、アルトコインよりも価格変動は小さいが、24日は違った。

ビットコインはアルトコインよりも大きな打撃を受け、マウントゴックスが2014年におきたハッキングの被害者に対して弁済を開始すると発表したことへの懸念をストレートに表す形で、ドミナンスは大きく低下した。

チャート作成プラットフォームのTradingViewによると、ビットコインのドミナンス(暗号資産市場全体の時価総額に占める割合)は1.8%マイナスの54.34%となり、1日あたりの低下率としては、1月12日以来の大きさとなった。つまり、投資家はビットコインからアルトコインよりも早く資金を引き上げた可能性が高い。

マウントゴックスが7月から被害者への弁済を開始し、14万ビットコインが配布され、その一部が売却されることで、市場に供給過剰が生じるのではないかとの懸念が強まった。6月7日以降、マイナーによる売却の加速やビットコインETF(上場投資信託)からの資金流出によって高まっていた売り圧に拍車がかかったことになった。

Amberdataが追跡したデータによると、売り圧懸念から、暗号資産取引所デリビット(Deribit)ではビットコインの短期プットオプションの需要が高まった。プットオプションは、原資産の価格下落に対するリスクヘッジとなる。

7日および1カ月のコール・プット・スキューは、トレーダーが1週間および1か月の間で価格上昇あるいは下落から利益を得るために支払う意思のある金額を示すもので、現在、マイナスに転じている。これはプットに対する需要が再び高まっていることを示している。

だが、一部の市場関係者は、マウントゴックスの弁済による実際の売り圧はそれほど大きくない可能性があると指摘している。

「7月に弁済される正確な額は特定されていないが、14万2000ビットコイン、14万3000ビットコインキャッシュ(BCH)、および合計690億円の法定通貨を含む、大規模な弁済計画の一部」とタガス・キャピタル(Tagus Capital)は述べた。

さらに「しかし、マウントゴックスの債権者は、ビットコインを売却せずに保有する可能性もある。なぜなら、彼らはかつて、米ドルでの支払い提案を拒否し、売却時にはキャピタルゲイン税が課される可能性がある長期投資家だから」と続けた。

|翻訳・編集;CoinDesk JAPAN編集部
|画像:ビットコインのドミナンス(CoinDesk)
|原文:Mt. Gox Effect? Bitcoin Dominance Drops Most in 5 Months