ビットコイン、イーサリアムのオプション100億ドル分がまもなく満期──トレーダーは強気相場が再び到来すると予想
  • 差し迫ったビットコインとイーサリアムのオプションの満期は、デリビットのオプションの建玉の40%以上に相当する。
  • オプションの25%以上が「イン・ザ・マネー」で期限切れになる予定だ。
  • トレーダーらは7月、ビットコインとイーサリアムが再び強気に転じると予想している。

暗号資産(仮想通貨)デリバティブの動向に関する議論が優先される時期が再びやってきた。

協定世界時(UTC)6月28日午前8時(日本時間午後5時)に、大手暗号資産デリバティブ取引所デリビット(Deribit)で、66億8000万ドル(約1兆688億円、1ドル=160円換算)相当のビットコイン(BTC)オプションと35億ドル(約5600億円)相当のイーサリアム(ETH)オプションが満期を迎える。

差し迫った満期の規模は、現在の累積未決済残高230億ドル(約3兆6800億円)超の40%以上を占めており、市場のボラティリティの急上昇を引き起こす可能性がある。四半期ごとの大規模な満期日は、取引量の増加やポジションの決済・ロールオーバーにより、価格変動が激しくなり、予測が難しくなることがよくある。

「6月28日の四半期満期が近づいている今、アメリカの『4重の魔女の日(Quad Witching:株価指数先物、株価指数オプションなど4商品の清算が重なる日)』とそれに伴うボラティリティの影響を受ける可能性があり、デリビットの未決済建玉の25%以上がイン・ザ・マネーで満期を迎え、それは27億ドル(約4320億円)を超える見通しだ。満期を迎えるオプション総額は100億ドル(約1兆6000億円)を超える」とデリビットのルーク・ストライジャース(Luuk Strijers)CEOはCoinDeskのインタビューで話している。

オプションとは、保有者に権利を与えるが義務は負わせない、特定の期日またはそれ以前に、あらかじめ定められた価格で原資産を購入または売却する権利を付与するデリバティブ契約だ。コールは購入する権利を付与し、プットは売却する権利を付与する。デリビットでは、1つのオプション契約は1BTCまたは1ETHを表す。

建玉の25%以上がイン・ザ・マネーで満期を迎えるということは、デリバティブ契約の多くが満期時に保有者にとって利益となる可能性が高いことを意味する。

時価総額が最大の暗号資産であるビットコインは、6月に入ってから9%近く下落し、一時は6万ドルを下回る水準まで下落した。例によって、この売りは幅広い市場に影響を及ぼし、イーサリアムも10%近く下落した。

「最近の価格下落は、マイナーによる売却、ドイツで押収されたBTCによる若干の圧力、そしてもちろん、7月初旬に予想されるマウントゴックス(Mt.Gox)の弁済が原因だ」とストライジャース氏は述べている。

それでも、コールプット・スキューは、アンバーデータ(Amberdata)が追跡したデータによると、投資家がプットよりも非対称的な上昇が見込める短期および長期のコールに対してより高いプレミアムを支払う意思があることを示している。

「短期的な弱気な見方が目立つ中、トレーダーはオプションの偏りから、7月12日までにビットコイン、7月5日までにイーサリアムが好転すると予想している。イーサリアム現物ETF(上場投資信託)の取引は7月の第1週に開始される見通しだ」とストライジャース氏は指摘している。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Renewed Bullishness Expected After Bitcoin, Ether’s $10B Options Expiry on Friday