低迷中のテゾス、復活に向けたロードマップを公開

テゾス(Tezos)ブロックチェーンの開発チームは、「パフォーマンス、構成可能性、相互運用性の大幅な向上」をもたらす可能性があるとする一連の技術的アップグレード、「テゾスX(Tezos X)」を発表した。

今後2年間の開発計画を示すロードマップでは、トランザクション(取引)実行を別の「正規ロールアップ」に分割することを求めている。この正規ロールアップは、「異なるプログラミング言語で書かれたスマートコントラクト間のアトミックトランザクション」に対応するものになる。メインのテゾスブロックチェーンは、コンセンサスと決済のベースレイヤーとして機能する。

この投稿は、Nomadic Labs、TriliTech、Functoriの開発チームによって共同執筆された。

2022年からテゾスの拡大を推進

夫婦であるアーサー・ブレイトマン(Arthur Breitman)氏とキャスリーン・ブレイトマン(Kathleen Breitman)氏のチームによって設立されたテゾスは、2017年にICO(新規暗号資産公開)で記録的な2億3200万ドル(約371億2000万円、1ドル160円換算)を調達し、一時はイーサリアムブロックチェーンに匹敵する最も有望なスマートコントラクトブロックチェーンプロジェクトの1つと考えられていた。

しかし、テゾスのプロジェクトはトップランクにとどまるのに苦戦している。ネイティブトークンであるテゾス(XTZ)の時価総額は7億4900万ドルで、CoinDeskのデータに基づくとプロジェクトの規模としてはおよそ80位だ。テゾスは史上最高値から92%下落している。

ブログ投稿によると、開発者らは2022年にテゾスネットワークの拡大を推進し始めた。

モジュラー設計に移行

投稿では、「この戦略の中心となるのは、スマート・ロールアップ(Smart Rollup)だ。これは、最適化された専用のレイヤー2がトランザクションを実行し、コンセンサスと決済を従来通りレイヤー1ブロックチェーンが保証するスケーリング技術だ」とされている。

もう一つの重要な機能は、テゾスメインネットワーク上の専用のデータ可用性レイヤーだ。

新しいロードマップは、トランザクションの実行を補助的なレイヤー2ネットワークに移行させるという、過去数年間イーサリアムネットワークが行ってきたスケーリングの取り組みに似ている。新しい「モジュラー型」コンポーネントが登場し、大量のデータを効率的に保存するなど、これまでメインのイーサリアムブロックチェーンが処理していた他の機能を処理するようになった。

「分散化を拡大・維持するために、テゾスはモノリシック設計からモジュラー設計へと進化してきた。相互接続されたノードのグループがさまざまな役割を担いながら、ビルダーとユーザーから見れば統合されたエクスペリエンスを維持している」と投稿では説明されている。

テゾスの計画の特徴は、トランザクションの実行が、イーサリアムネットワークの場合のように複数のレイヤー2ネットワークではなく、単一のロールアップで処理できることだ。

投稿では、「理論上は、最も極端なユースケースを除き、すべての要件を満たすのに1つのロールアップで十分だ」「それがテゾスXの構想だ。つまり、テゾスネットワーク上のすべてのアクティビティを処理し、大幅に拡張できる単一の正規ロールアップを作成することだ」と説明された。

この計画では、正規ロールアップの導入予定は2026年となっている。

|翻訳・編集:林理南
|画像:テゾスの共同創設者、アーサー・ブレイトマン氏(Bradley Keoun)
|原文:Tezos, Smart-Contract Blockchain of ICO Fame, Reveals Roadmap to Rejuvenate