SEC、コンセンシスを提訴──メタマスクの取引・ステーキングは未登録の証券仲介
  • 米証券取引委員会(SEC)は6月28日、コンセンシス(Consensys)を提訴、同社のウォレット「メタマスク(MetaMask)」が提供する「Swaps」および「Staking」サービスは連邦証券法に違反していると主張した。
  • SECはまた、メタマスクにサービスを提供している人気ステーキングサービスのLido(リド)とRocket Pool(ロケット・プール)も提訴に含め、stETHおよびrETHを未登録証券と指摘した。
  • コンセンシスは以前、SECを提訴し、こうした訴訟を阻止しようとしていた。

米証券取引委員会(SEC)は28日、イーサリアム・ソフトウェアプロバイダーのコンセンシス(Cosensys)を提訴、同社が提供するウォレット「メタマスク(MetaMask)は未登録の証券仲介サービスであり、「有価証券の募集および販売に従事している」と述べた。提訴には、人気イーサリアム(ETH)ステーキングサービスのLido(リド)とRocket Pool(ロケット・プール)も含まれている。

SECは以前から、暗号資産(仮想通貨)のほとんどを「証券」として分類しようとしている。先月、SECがイーサリアム現物ETF(上場投資信託)の取引所ルールを承認するというサプライズの後、SECはリドのstETHトークンのようなETHのリキッドステーキングトークンを監督下に置こうとしているという疑念が依然として残っていることも今回の提訴で明らかになった。

SECは昨年、暗号資産取引所クラーケン(Kraken)のステーキングサービスは未登録の証券提供にあたると発表。クラーケンは同サービスの提供を停止し、和解金として3000万ドルを支払うと発表した。コインベース(Coinbaseも、複数の州の証券規制当局と合意後、ステークサービスを終了させた。

メタマスクは、イーサリアムなど多くのブロックチェーンで広く使用されるウォレット。他のプラットフォームで購入した暗号資産を保有する機能を提供するだけでなく、「Swaps」サービスを通じて、ユーザーはアプリ内で直接、暗号資産を売買できる。これはSECの提訴で問題となっている重要な機能の1つだ。

コンセンシスは、このサービスから手数料を徴収しており、SECの訴状によると、過去4年間で3600万件以上の取引を仲介し、「少なくとも500万件」が「暗号資産証券」に関与しているという。

SECによると、取引された証券には、ポリゴン(MATIC)、ディセントラランド(MANA)、チリーズ(CHZ)、ザ・サンドボックス(SAND)などが含まれるが、他の暗号資産も証券である可能性があるとしている。26日の提訴で名前があげられた暗号資産の多くは、すでにSECのこれまでの訴訟で未登録証券と指摘されているが、少なくとも発行元のいくつかは、この分類に異議を唱えている。

SECはまた、メタマスクの「Staking」機能についても問題にしている。この機能では、ユーザーは保有するETHをブロックチェーンに預け入れることで利回りを得る。メタマスクの同機能は、DeFi(分散型金融)大手のLido(リド)とRocket Pool(ロケット・プール)によって提供されている。

ユーザーは、これらのサードパーティー・ステーキング・サービスにETHを預け入れ、代わりに取引可能な、いわゆるリキッド・ステーキング・トークンを受け取る。

SECは、メタマスクがリドとロケット・プールのサービスを統合していることは「投資契約」に相当するとし、それぞれが提供するリキッド・ステーキング・トークンのstETH、rETHを未登録証券とみなしていることを示唆した。

「少なくとも2023年1月以来、コンセンシスは担保資産と引き換えにリキッド・ステーキング・トークン(stETHおよびrETHと呼ばれる)を作成・発行するリドおよびロケット・プールに代わって、何万もの未登録証券を提供・販売してきた」とSECは述べた。

「ステーキングされたトークンは、一般的にロックされ、ステーキングされている間は取引や使用ができないが、リキッド・ステーキング・トークンはその名前の通り、自由に売買できる」

コンセンシスは26日、米CoinDeskに「SECが同社のソフトウェア・インターフェースであるメタマスクを証券ブローカーとして登録するよう要求するという脅しを貫くことは完全に予想していた」と述べた。

「SECは、その場限りの強制措置によって、アンチ暗号資産政策を推進してきた」「これは、SECの規制の行き過ぎの最新事例に過ぎない。訴訟を通じて、確立された法的基準を再定義し、SECの管轄を拡大しようとする見え透いた試みだ」

わずか数週間前、コンセンシスはSECによるイーサリアムに関連した同社への調査は終了したと発表し、SECから送られた2通の書簡に言及していた。

6月18日付の2通の書簡は、SECは他の問題に関連して執行措置を取る可能性を警告していたが、どちらもメタマスクには触れていなかった。

イーサリアムの共同創設者ジョー・ルービン(Joe Lubin)氏が率いるコンセンシスは、4月にSECを提訴し、SECがメタマスクを証券仲介と呼んだり、同社のステーキングサービスを連邦証券法違反と見なすことに対する司法救済を求めていた。テキサス州で提出された訴状では、イーサリアム(ETH)は有価証券ではないと述べ、SECによる同社への調査を終了させる裁判所命令を求めていた。

「SECにはメタマスクのようなソフトウェア・インターフェースを規制する権限がないという当社の立場に自信を持っている」とコンセンシスは述べた。

「これらの問題について裁定を得るため、テキサス州での訴訟を今後も精力的に進めていく。なぜなら、これは当社だけでなく、Web3の今後の成功にも関わる問題だ」

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:コンセンシスの創業者兼CEO、ジョー・ルービン氏 (Shutterstock/CoinDesk/Suzanne Cordiero)
|原文:SEC Sues Consensys Over MetaMask Staking, Broker Allegations