ビットコイン、6万5000ドルで抵抗に直面する可能性──オンチェーンデータ分析で
  • 短期保有者のウォレットは損失を抱え、損益分岐点である6万5000ドル付近で清算する可能性がある。
  • 平均コストが2万ドル未満の長期保有者のウォレットは、コインを保有し続けるか、増やすインセンティブがある。

ビットコイン(BTC)が損失から回復する兆しを見せている中、新たな課題が迫っており、オンチェーンデータは6万5000ドルでの潜在的な抵抗を示唆している。

時価総額でトップの暗号資産(仮想通貨)は、記事執筆時点で6万2750ドルと1%近く上昇し、6月を7%の下落で終えた後、いくらか持ち直しの兆しを見せている。5月の上昇を帳消しにする形となった6月の下落は、主にマイナーによる売りや、ETF(上場投資信託)への資金流入が明確な強気相場ではなく、方向性のない裁定取引の賭けを表しているのではないかという懸念が原因だった。

注目すべきは、この下落により、短期ビットコイン保有者、つまり取得して155日以内のウォレットの平均取得価格を大幅に下回る価格となったことだ。記事執筆時点で、短期保有者の総コストベースは6万5000ドルだとデータソースのLookIntoBitcoinが報告している。オンチェーン分析会社は、コインが最後にオンチェーンで使用された平均価格を表す実現価格を総コストベースとみなしている。

言い換えれば、短期保有者は現在、潜在的な損失を抱えており、収支が均衡すれば市場から撤退しようとする可能性があるため、6万5000ドル付近で売り圧力が強まる可能性がある。

「ビットコインの価格は、2023年8月以来初めて、短期保有者の取得原価合計を下回った。短期的には、短期市場の投機筋が『損益分岐点』レベルでポジションを解消しようとする可能性があるため、6万5000ドル付近で多少の抵抗があると思われる」と、ブロックウェア・インテリジェンス(Blockware Intelligence)のアナリストは最新版のニュースレターで述べている。

「昨年の夏、BTCが短期保有者実現価格(STH RP)のサポートレベルを失ったとき、価格はその後2カ月間横ばいで推移し、最終的に再び上昇に転じた」とアナリストは付け加えている。

黃線がビットコイン短期保有者の平均取得原価。(LookIntoBitcoin)

一方、長期保有者のウォレットは、コインの保有残高を維持または増加させる強い動機付けがある。LookIntoBitcoinによると、その平均コストは2万ドル未満だからだ。彼らの平均取得価格は、BTCの市場価格よりも70%近くも低いのだ。

さらに、3月に記録的な高値7万3500ドルを超えたビットコインが15%下落したことは、従来の市場投資家にとっては大幅な下落のように見えるかもしれないが、長期の暗号資産保有者にとっては通常の強気相場の修正だ。

「2017年のサイクル中、BTCは20%以上の下落を10回経験した。これは正常で健全な強気相場の調整だ。ビットコインの価格変動は弱者をふるい落とし、より長期的な視野を持つ人々に戦略的な資本展開の機会を提供する」とブロックウェアは述べている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin’s Potential Rebound May Face Resistance at $65K, OnChain Analysis Shows