4日から京都でスタートした「IVS Crypto/JBW Summit」。「Cross the Boundaries」をテーマに掲げた2024年は、スクウェア・エニックス、コナミ、ディー・エヌ・エーという国内ゲーム大手3社によるセッションからスタートした。「Web3のマスアダプションはゲームが切り拓く」などと言われるが、まさにそうした状況を反映したスタートとなった。
セッション名:日本のゲーム会社におけるWeb3戦略
日時:7月4日 11:45〜
登壇者
・コナミデジタルエンタテインメント 金友 健氏
・ディー・エヌ・エー 田中翔太氏
・スクウェア・エニックス 畑 圭輔氏
・YGG Japan 椎野真光氏(モデレーター)
セッションは、まず4人の登壇者がそれぞれの取り組みを紹介。概要のみの紹介ではあったが、4人ともWeb3ゲーム/ブロックチェーンゲームについて、パイオニアとして積極的な取り組みを展開し、なかには「IVS Crypto/JBW Summit」に合わせてプレスリリースも行っているケースもあるため、30分のセッションはあっという間に半分が経過した。
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モデレーターの椎野氏は冒頭の写真にあるように、5つの興味深い質問を準備していたのだが、5問すべてをカバーするには時間がなく、大きく3つの質問を行った。
日本でのWeb3ゲーム普及に対する最大の壁とは
畑:ずっと話せるテーマだ(笑)。Web3ゲーム、ブロックチェーンゲームは「稼げる」というワードが使われる。だが、私自身もゲーマーだが、ゲームユーザーは最初の入口が「稼げる」ではない。
もちろん「稼げる」ことは悪いことではないが、この「稼げる」というワーディングは変えていく必要があると考えている。Web3ゲームはトークンが絡むのでゲーマーだけではなく、投棄勢も重要。だがどうしても意見が対立することがある。そこをどうオーガナイズしていくか。バランスが重要。
金友:強固なファンがいれば、投機勢がやって来ても揺るがないが、今はそういう状況ではない。順番が大事だと考えていて、今は、NFTのユーティリティに集中した方がいいと考えている。一旦、トークノミクスは忘れましょう。いずれ、そういう時代が来るが、まだ早い。NFTが使えること、そしてゲームとして面白いことを確立させる。順番が重要だ。
ステップンもトークンの暴落していなかったら、今、どうなっていたか。トークンのボラティリティがなければ、まだファンが大勢残っていたのではないか。
田中:お手本になる成功例が国内外どこでもいいので出てきてほしい。開発者として注目しているものはあるが、お客様から見たときに「ステップンと同じようにやればいい」となるもの。似たようなタイトルが切磋琢磨する環境がまだ出てきていないことが課題だ。
大手としてやるべきことは?
畑:ユーティリティとトークノミクスのバランスをどう作れるか。最初はNFTをまず知ってもらう、触ってもらうことにフォーカスしてプロダクトを作ったが、それでもやはり価値がつくのではないかと考える人たちが入ってくる。そのバランスを探しながら、針に糸を通すような仕事を続けていくことが必要ではないか。
金友:UXデザイン、もうそれしかないと思う。Web3、NFTという言葉は必要なくて、体験ベースで何が新しくて、何が面白いかが重要。結果的にNFTやWeb3が手段として使われることがあるだろうが、大切なのは、NFTで何ができるのか、今までの生活がどう豊かになるのかということだ。
田中:これからやるべきことは山ほどあって、さまざまな不確実性に対処することは1社では限界がある。UXとか、開発の安定性などは、一緒にやっていくことが突破口になるのではないか。
Web3ゲーム、ブロックチェーンゲームが日本で本格的に普及する時期、必要なものは?
畑:普及するタイミングについてはよく考えるが、今でもできると思っている。最近リリースした「SYMBIOGENESIS(シンビオジェネシス)」はパブリックチェーンを使っている。チェーン上にデータが全部記録されていて、誰でもトランザクションを見られるし、誰が何を持っているかがわかる。それらを利用してコンテンツが拡張でき、お客様自身がサービスを作ったり、遊びを作ったりできる。そういうムーブメントを作りたい。今までのゲームが絶対できなかったことで、拡張性のあるコンテンツを出していくことが重要。ブロックチェーンらしさを出していきたい。
金友:IPだと思う。既存のIPはもちろん、新しいIPが出てくることも必要。ソーシャルゲームが出始めたときも、新しいIPが生まれてきた。新しいIPとは、すなわた新しいファンが生まれること。新しいファンをいかに作れるかが重要だ。
田中:日本のゲーマーが皆、Web3ゲームをプレイする時期は正直わからないが、グローバルで見たときには、局所的な盛り上がりはもう存在している。兆しはすでにある。その意味では、3年以内ぐらいには、何かが出てきているのではないか。
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なお、CoinDesk JAPANを運営するN.Avenue株式会社は、7月5日・6日に一般社団法人JapanBlockchainWeekと「JBW Summit at IVS Crypto」を共催。また、7月31日まで続く「Japan Blockchain Week」のメイン・メディアパートナーを務める。
|文・写真:増田隆幸