ブラックロックのBUIDLファンドが5億ドルを突破──トークン化国債市場が急拡大

世界的な資産運用会社ブラックロック(BlackRock)のBUIDLトークンの時価総額が8日に5億ドル(約800億円、1ドル160円換算)を超えたことが、Etherscanによるイーサリアムブロックチェーンのデータで判明した。BUIDLはセキュリタイズ(Securitize)と提携して発行されたもので、米国債に裏付けられている。

3月の発売からわずか4か月で、トークン化国債商品としては初めて時価総額5億ドルの大台を達成した。

ブラックロックのBUIDLの成長が促進された要因には、Ondo FinanceやMountain Protocolなどの他の分散型金融(DeFi)プロトコルがBUIDLを独自の利回り付き商品の裏付け資産として使用したことがある。FalconXなどのデジタル資産ブローカーや、最近ではHidden Roadも、自社のネットワーク全体で機関投資家顧客向けの担保資産にBUIDLを加えた。

セキュリタイズのカルロス・ドミンゴ(Carlos Domingo)CEOはCoinDeskにメールで、「BUIDLは、他の多くの革新的な現実資産(RWA)商品の基盤となるトークン化資産になり続ける」と語った。

デジタル資産会社や世界的な金融大手が競って国債やプライベートクレジット、ファンドなどの伝統的な商品をブロックチェーン上に配置し、決済の迅速化と運用の効率化の達成を目指す中、米国債は現実資産トークン化の最前線に立っている。

多くのデジタル資産企業や投資家は、ブロックチェーンベースの現金を預けることでブロックチェーンエコシステムを離れることなく安定した利回りを得ることができる低リスクの金融商品として、こうした国債が裏付け資産となる商品を求めている。

データプロバイダーのrwa.xyzのデータによると、BUIDLを含めトークン化米国債市場全体は今年2倍以上に成長し、1月の7億8000万ドルから6月7日時点では18億ドル(約2880億円)に成長している。

ブラックロックのBUIDLはトークン化商品の中でトップであり、約27%の市場シェアを占めている。rwa.xyzのデータによると、ほかの大手企業にも過去1か月間に大幅な流入があった。フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)の商品の時価総額は16%増加して4億ドルになり、ハッシュノート(Hashnote)とオープンエデン(OpenEden)の商品はそれぞれ40%と89%増加した。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Jim.henderson/Wikimedia Commons
|原文:BlackRock’s BUIDL Fund Tops $500M as Tokenized Treasury Market Soars