Play to Earn(P2E)は終わった。Tap to Earn(T2E)が大きな変化をもたらす理由とは

Play to Earn(P2E)ゲームは急速に台頭したが、失敗に終わった。なぜか?P2Eゲームは、ゲーマーを暗号資産(仮想通貨)に引き込もうとしたが、それは我々が学んだ通り、信頼やマスアダプションの鍵にはならなかった。

代わりに、焦点がシフトした。暗号資産ファンが求めるもの、つまり暗号資産を素早く、簡単に稼ぐ方法を提供する方向へと。

従来のP2Eモデルは複雑なゲームプレイと多大な時間を必要とすることが多かった。だが、いわゆる「Tap to Earn」ゲームは、より身近で魅力的なアプローチを提供する。

テレグラム(Telegram)のように消費者の手元にあり、人々がすでに時間を費やしているソーシャルネットワークサービスを活用することで、意図的であろうとなかろうと、マスアダプションへの扉が開かれた。

この3カ月間で、2億1000万人がテレグラムのバイラルクリッカーゲーム「ハムスターコンバット(Hamster Kombat)」で仮想の暗号資産取引所のCEOになった。他の成功したTap to Earnも、比較的低いもののWeb3ゲームとしては驚くべき数字を誇っている。

TapSwapは5000万人の総ユーザー数を誇り、Yescoinは1カ月足らずでアクティブプレイヤー数が2600万人を突破した。これらの数字は伝統的なWeb2ゲームと同レベルだが、これらのゲームはテレグラムにおけるWeb3エコシステムにおいて、マスアダプションを象徴している。

ミニアプリが普及を促進

テレグラムのミニアプリ(Mini App)は、この普及サイクルのストーリーであり、またエンジンのひとつであり、Tap to Earnはその主な燃料となっているようだ。

GattoのようなゲームやFantonのようなファンタジースポーツゲームも順調に前進しているものの、それらのユーザーベースはクリッカー大手に比べると限定的なままだ。

すべてはNotcoinから始まった。Notcoinは2024年元旦のローンチ以来、4000万人以上のプレーヤーを惹きつけることに成功した。そのうちの1150万人は、バイナンス(Binance)、オーケーエックス(OKX)、その他の大手暗号資産取引所への上場後、Notcoin(NOT)トークンを獲得してWeb3ユーザーになった。

Notcoinの戦略は天才的で、PixelTapのような他のバイラルアプリにも採用されている。そのプロセスは、ユーザーにとってのハードルを避けるため、完全にオフチェーンのゲームプレイから始め、インセンティブや紹介を通じてできるだけ多くのプレイヤーを獲得し、その後、トークンのエアドロップを発表するという流れだ。

他の戦略もかなりうまくいっている。YescoinとCatizen(人気のP2Eテレグラム・ミニアプリ)は、早くからオンチェーンの仕組みを導入していた。

時間が経てば、特にハムスターコンバット、TapSwap、PixelTapがトークンをローンチすれば、各チームが選択した異なるアプローチがオンチェーンへの転換やユーザー維持にどのような影響を与えるかが明らかになるだろう。

CatizenとNotcoinは、それぞれ7%と6.2%のオフチェーンからオンチェーンへのユーザー転換率を誇っており、テレグラムの平均0.6%よりもはるかに高い。

成功要因

バイラルになったテレグラムゲームの秘密は何か? Tap to Earnが短期間で驚異的な成長を遂げた主な理由は、ゲームプレイの明白なシンプルさ(例えば、クリックして簡単なクエストを完了すること)とエンターテイメント性の高いゲーム進行(例えば、ハムスターコンバットに見られるような新しいカードの組み合わせなど)だ。

コミュニティへのエアドロップが約束されていることも、この種のゲームの成功のポイントだ。DeFiプロトコルやイーサリアムレイヤー2とは異なり、クリッカーアプリは複雑なオンチェーンアクションを必要としない。Notcoinがそのわかりやすい証拠だ。

Notcoinチームによると、トークン供給の約90%がコミュニティに供給され、1ウォレットあたりの平均報酬は200ドル(約3万2000円、1ドル160円換算)に達したという。Catizenは将来、CATIの42%をエアドロップすることを約束しているが、前述の他のアプリはまだトークノミクスを明らかにしていない。

成功に不可欠なもうひとつの要素は、SNSを活用し、プレイヤーに友達を招待したり、より高い報酬を得るためにグループで競争するよう促すことだ。これらのバイラルアプリはすべて、TONのブロックチェーンを選んだが、これはテレグラムへのオンボーディングが簡単なこと、9億5000万人の世界的なユーザーベース、チェーンの技術的優位性、そしてトップクラスの中央集権的取引所でのNotcoinの最近の成功によって説明できる。

Web3の大物プレーヤーがこの戦略を支持していることも助けとなっている。著名なWeb3ゲームスタジオであり、ベンチャーキャピタル企業のアニモカブランズ(Animoca Brands)はテレグラムに大きな賭けをし、現在Web3のパートナーとしてTONを選択している。アニモカが所有するゲームプラットフォームGAMEEは8000万人以上のユーザーを誇り、他のTONプロジェクトで十分に試された取り組みに従って、最近TONでのトークンのローンチを発表した。

遊びとゲームだけではなく

注目すべきは、Tap to Earnのアプローチがゲーム以外のアプリケーションでも採用されていることだ。

元バイナンスのトップマネージャーによるハイブリッド暗号資産取引所Blumは、シンプルなクリッカーと「Quest-to-Earn」メカニズムからスタートし、コア製品の機能をローンチする前に3000万人のユーザーを集めることに成功した。これは、Tap to Earnが本質的に効果的なオンボーディングツールであり、有利な収益源であると見なされていることを示している。

多くの人が、Tap to Earnトレンドの持続可能性や、集まったトラフィックの質に疑問を抱いている。チームがどのようにユーザーを教育し、維持し、長期的な価値を提供するかは未解決の問題だ。

ゲームパブリッシャーやクエストプラットフォームとして活動することを計画しているところもあれば、eコマースやトレーディング商品の提供を約束しているところもある。Notcoinはオンチェーンの指標をまずまずの水準に保つことに成功し、オンチェーンのトークン保有者数(約250万人)ではミームコイントップの地位を維持している。

ユーザーは2024年、注目に値するアプリやゲームとは、労力や時間、関心に応じてすべての人に報いるものだと感じている。今後の推移は、時間が経ってみなければわからない。テレグラムとTONは、あらゆるタイプのゲームやジャンルに門戸を開いているが、マスアダプションの原動力となるのは、どうやらごく一部のゲームとなりそうだ。

ひとつの真実が自明になった。次なる業界最大手は、まもなく生まれようとしている。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:nikkimeel / Shutterstock.com
|原文:Play-to-Earn Is Dead. Why Tap-to-Earn Marks a Big Shift