TONアプリケーションズ・チェーン(TAC:TON Applications Chain)と呼ばれる新しいプロジェクトは、人気のメッセージアプリTelegramとの提携で知られるTONブロックチェーンエコシステム用のレイヤー2ネットワークを構築している。
イーサリアム仮想マシンとの互換性
プレスリリースによると、TONブロックチェーンエコシステムに重点を置く投資家であるThe Open Platformが支援するこのプロジェクトは、イーサリアムネットワークに重点を置くレイヤー2開発企業ポリゴン(Polygon)の技術を利用することを予定している。チームは9日、ベルギーのブリュッセルで開催されたイーサリアム・コミュニティ会議(EthCC)でこの発表を行った。
TACプロジェクトの重要な特徴は、イーサリアムブロックチェーンのオペレーティングシステムのような存在であるイーサリアム仮想マシン(EVM)と互換性があるものになることだ。このような互換性は非常に重要だ。互換性があれば、広く普及しているイーサリアム規格でアプリケーションを構築した開発者が、TONエコシステム内の新しいTACレイヤー2ネットワークに簡単に移植できるようになる。
CoinDeskに提供されたプレスリリースによると、TACは「EVMベースの分散型アプリケーションをTONのエコシステムに導入できるように設計」されており、イーサリアムネットワークの開発者がTelegramユーザー向けの新しいプログラムを構築できるようにもなっている。
新しいレイヤー2ネットワークは、ポリゴンのチェーン開発キット(CDK:Chain Development Kit)を利用する。これは、ポリゴンのゼロ知識技術や、ブロックチェーンの分断を解決するための相互運用性レイヤーであるポリゴンのAggLayerをベースに開発者が独自のレイヤー2ブロックチェーンを作成できるカスタマイズ可能なツールキットだ。
プレスリリースによると、このプロジェクトの登場により、TONエコシステム内での分散型金融(DeFi)アプリケーションやゲーム、分散型IDソリューションの開発が促進される可能性があるという。
TACの創設者であるパヴェル・アルトゥコフ(Pavel Altukhov)氏はCoinDesk宛の電子メールで、「EVM互換性、AggLayerを介してEVMチェーンからの流動性をシームレスに利用できること、包括的な開発サポート、ポリゴンのEVMの専門知識が理由で、ポリゴンエコシステム上に構築することを選択した」と述べ、「ポリゴンを取り巻く活気のあるコミュニティも、我々の決定における重要な要素だった」とコメントした。
レイヤー2はイーサリアムで盛ん
他の主要なブロックチェーン企業も過去1年間に独自のレイヤー2ネットワークを構築しようとしてきたが、それは主にイーサリアムネットワーク上でだった。
暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)が昨年8月に、イーサリアムネットワーク上にオプティミズム(Optimism)のOP Stackを採用した「Base」ブロックチェーンを立ち上げたことで、このトレンドが始まった。それ以来、セロ(Celo)やワールドコイン(Worldcoin)といったプロトコルは、イーサリアムネットワーク上にOP Stackを採用したレイヤー2ロールアップを立ち上げる計画を発表してきた。また、暗号資産取引所OKXも4月にポリゴンのCDKを採用した「Xレイヤー(X Layer”)」と呼ばれるイーサリアムネットワークのレイヤー2をリリースした。
|翻訳・編集:林理南
|画像:TACの創設者パヴェル・アルトゥコフ氏(TAC)
|原文:TON Blockchain Ecosystem to Get New Layer-2 Network Based on Polygon Tech