7月10日に発表された暗号資産(仮想通貨)業界が支援した世論調査によると、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領が長年懐疑的だった暗号資産を最近受け入れたことで、ホワイトハウス復帰を目指すトランプ氏に対して消極的だった共和党員の一部から票が集まる可能性がある。
共和党の大統領候補であるトランプ氏は、アメリカの暗号資産セクターを支援することについて肯定的な発言を繰り返し、一部の有権者の注目を集めたことを、暗号資産投資会社パラダイム(Paradigm)が資金提供した世論調査が示した。世論調査会社エシュロン・インサイト(Echelon Insights)がまとめたデータによれば、共和党の有権者の感情を反映したこの調査では、彼に投票するつもりはないと答えた人のうち13%が、彼の暗号資産に関する発言によって、彼をより肯定的に捉えるようになったと回答した。
調査によると、対象者の大半(60%)は連邦議会が暗号資産事業に関する規制を策定する必要があると考えている。また、共和党員は概して現在の金融システムの運営方法に不満を抱いている。
「共和党員は暗号資産の魅力を理解しており、明確で予測可能なルールを確立するための議会での行動を支持している」とパラダイムの最高法務責任者であるケイティ・ビーバー(Katie Biber)氏と、同社の政府関連業務担当責任者であるアレックス・グリーブ(Alex Grieve)氏は、このデータの分析で書いている。
1000人以上の共和党支持者に対する世論調査は、選挙戦を混乱に陥れたトランプ氏とジョー・バイデン(Joe Biden)大統領のテレビ討論会のかなり前、6月中旬に行われた。トランプ氏は予備選挙で党の指名獲得に向けて順調に進んでおり、来週には党大会が開催され、正式に指名される予定だ。
調査対象となった共和党員の4分の1以上が暗号資産の所有経験があり(28%)、それらは、若年層、男性、非白人層に偏っていた。
回答者のほぼ全員(94%)は、個人の財務記録は非公開であるべきだと考えており、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に詳しい少数の人々は、そのうち68%がCBDC導入に反対していた。中国のデジタル人民元に対抗できる決済商品を民間企業が製造できるよう、アメリカ政府が道筋をつけるべきかどうかについては、賛成が40%、反対が31%と僅差だった。
今年のいくつかの有権者調査では、暗号資産に対する複雑な印象が明らかになった。今回の調査では、質問に対して回答した共和党員の36%が暗号資産に対して肯定的な印象を持っているのに対し、否定的な意見を持つ人は30%だったが、誤差が3.5%があると推定されるため、不確実性が残る。
5月に発表されたハリス・ポール(Harris Poll)の調査によると、主要激戦州の有権者のうち、暗号資産に肯定的な見方をしているのは3人に1人未満(31%)であることが示唆された。同月に発表された、より広範なアメリカの有権者を対象とした別のハリス・ポールの調査では、有権者の3分の1が、候補者を支持するかどうかを決定する際に、候補者の暗号資産に対する見解を考慮すると回答した。つまり、暗号資産は有権者にとってひとつの決定要因となりつつある可能性があるが、業界に対する感情は必ずしも好意的なものばかりではないということだ。
共和党指導部は、有権者が暗号資産を支持しているというメッセージを受け取ったようで、共和党全国委員会は今週初めに、デジタル資産支援を党綱領に含めることを発表した。
全国的な大統領選挙の世論調査によると、トランプ氏はバイデン大統領と接戦を続けているが、バイデン氏がテレビ討論会で拙劣で途切れがちなパフォーマンスをしたと受け止められた後、トランプ氏の優位性が拡大した。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Trump’s New Crypto Enthusiasm Could Help Him Win More Votes: Poll