ドイツのザクセン州などによる売却が続く中、ビットコインは5万8500ドルで付近で安定
  • アーカムによると、ドイツ連邦刑事庁(BKA)のウォレットは、ヨーロッパ時間中に5103.5BTCを移動させた。
  • ドイツ当局によるコイン売却が続く中、BTCはほぼ横ばいで推移した。

ドイツのザクセン州が新たにオンチェーンでコインの移動を行ったことを受け、ビットコイン(BTC)は5万8500ドル付近で安定している。アジア時間には5万9000ドル以上を維持できなかった。

記事執筆時点で、CoinDeskが追跡しているデータによると、時価総額でトップの暗号資産(仮想通貨)は協定世界時(UTC)午前1時6分に付けた高値5万9450ドルから1.6%下落し、5万8470ドルで取引されていた。

アーカム・インテリジェンス(Arkam Intelligence)によると、記事公開の数十分前に、ドイツの連邦刑事庁(BKA)は、クラーケン(Kraken)やコインベース(Coinbase)といった取引所、カンバーランドDRW(Cumberland DRW)やフロー・トレーダーズ(Flow Traders)といったマーケットメーカーに、総額3億ドル(約480億円、1ドル=160円換算)に相当する5103.5BTCを移動させ、プライバシー保護サイトから押収したBTCを売却するという積極的なアプローチを継続した。

7月9日、CoinDeskは過去数週間にわたって標準的な手続きに従ってビットコインを移動させていたのは、ドイツのザクセン州だったと報じた。

同州は6月後半にBTCの売却を開始し、それ以来3万997BTCを清算し、暗号資産市場を動揺させている。BTCは過去4週間で15%以上下落し、先週には一時5万3550ドルの安値をつけた。また、記事執筆時点で、BKAと紐づいたウォレットには1万8860BTCが保管されている。

安定したBTC価格の動きは、市場が徐々にマウントゴックス(Mt. Gox)の債権者による売却や潜在的な売却に慣れてきていることを示唆している。

「市場は、マウントゴックスとドイツ当局からの資金流出に慣れてきているようだ。ビットコイン現物ETF(上場投資信託)は再び強い資金流入を見せており、トレンドの反転を示唆している。これは相対力指数(RSI)によっても裏付けられており、数日前に注目された売られ過ぎの水準が投資家によって好機と捉えられていることが分かる」と、BRNのアナリスト、ヴァレンティン・フルニエ(Valentin Fournier)氏はメールで述べている。

「11日に発表されるアメリカの消費者物価指数(CPI)からは引き続き明るいニュースが期待できそうだが、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は9月まで利下げを先延ばしすると予想されている。また、6月28日の個人消費支出(PCE)の好調を受けて、タカ派的な発言がなされる可能性があり、市場がインフレが収まっていないかのように反応するかもしれない。そのため、不安定な週の終わりを迎える前に利益を確定することをお勧めする」とフルニエ氏は付け加えた。

ただ、主要国は景気拡大局面にあり、伝統的な市場ではハイテク株に対する楽観的な見方がピークに達しており、全般的な見通しは引き続き明るい。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Steady at $58.5K as German State Saxony Moves $300M in BTC