イーサリアム(Ethereum)の共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は10日、ブリュッセルでの開発者会議で1100人もの参加者を前に基調講演を行った。テーマは、ベースレイヤーとしてのイーサリアムブロックチェーンの強化だ。
ブテリン氏は、Ethereum Community Conference(EthCC)でのプレゼンテーションで、スマートコントラクト・ブロックチェーン最大手であるイーサリアムの強みと弱みとその広大なエコシステムについて、取引の検閲、あるいはガバナンスの「クォーラム閾値(定足数)」を75%から80%に引き上げる提案に関する懸念を含めて長時間にわたって語った。
ブテリン氏は、イーサリアムエコシステムの強みは「大規模かつ合理的に分散化されたステーキング・エコシステム」であること、そしてきわめて国際的で知性豊かなコミュニティであることだと述べた。
ブロックチェーンの弱点はまだ解決されていないとブテリン氏は述べ、イーサリアムブロックチェーンのバリデーターになるには32ETHが必要という条件があり、単独でのステーキングが難しいことや、ノード運用が技術的に複雑であることなどを指摘した。だが同氏は、これらの問題は「きわめて対処可能なもの」と述べた。
イーサリアムコミュニティの知的リーダーであるブテリン氏は、イーサリアムに存在するさまざまな弱点を修正するための技術的改善点を説明し、「プロトコルの簡素化」が可能になるとした。
「堅牢なエコシステムを望むのであれば、シンプルでなければならない」「73もの思いつきの工夫や、後方互換性のようなものを維持するべきではない。それらは2014年にヴィタリックという名前のただの人物が思いついたものだ」
51%攻撃
ブテリン氏はまた、ブロックチェーンに対する51%攻撃についての懸念も表明し、イーサリアムコミュニティの共通認識として、全員が団結し、少数派にはソフトフォークを行わせ、攻撃者を排除する考え方があると述べました。
「ただし、コーディネーション、イデオロギー、その他さまざまなことに関する多くの前提条件に左右され、10年後も同じことを行えるかどうかはわからない」
「私は、強みを真に倍増させることに価値があると考えている。同時に、私たちの不備を認識して修正し、実際に非常に高い基準を満たすようにすることが重要だ」
ブテリン氏は、過去数年にわたりEthCCに頻繁に登壇している。2023年には「抽象化」をめぐる課題について、2022年にはPoWからPoSへの移行となるマージ(Merge)を前に講演を行った。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:10日、ブリュッセルでのEthCCに登壇したブテリン氏(Margaux Nijkerk)
|原文:Vitalik Buterin Reflects On Strengths, Weaknesses of Ethereum, ‘Hardening’ the Blockchain