デリビット、米大統領選の結果をヘッジするビットコインとイーサリアムのオプションを発表
  • デリバティブ取引所のデリビットは、11月4日のアメリカ大統領選挙から4日後に満期を迎えるBTCおよびETHのオプションを上場する。
  • トレーダーによると、これらのオプションは、バイナリーイベントのリスクを定義し、その前後に予想されるボラティリティから資産を保護するのに役立つという。

世界最大の暗号資産(仮想通貨)オプション取引所のデリビット(Deribit)は7月16日、今年11月4日に行われるアメリカ大統領選挙の結果に関連して、トレーダーがビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)のポジションを効果的に管理できる新しいオプション商品を発表した。

暗号資産市場をリードするビットコインとイーサリアムに連動する、いわゆる「選挙満期オプション」の導入は、トレーダーから好意的な反応を得ている。

「アメリカの選挙は、暗号資産を含むリスク資産にとって注目すべきものであり、財政政策と金融の安定性に影響を与えるだろう。オプションは、この不確実性をヘッジするための重要なツールだ。そのため、デリビットがこのオプションをリストすることは当然のことだ」と、マーケットメーカーSTS Digitalのシニアトレーダー、ジェフ・アンダーソン(Jeff Anderson)氏はCoinDeskに述べた。

間近に迫った選挙は、暗号資産にとって重要なものとなるかもしれない。共和党候補のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏は最近、デジタル資産を受け入れ、対立候補の現職ジョー・バイデン(Joe Biden)氏と一線を画している。トランプ氏は暗号資産規制の詳細な提案をまだ発表していませんが、ビットコインマイナーに対する最近の働きかけや、ナッシュビルで開催される会議への出席を約束したことで、業界からの支持を獲得し、ビットコインとより広い暗号資産市場は彼の大統領就任に賭けている。

そのため、選挙の前後ではBTCとETHの価格変動が大きくなる可能性があり、投資家はオプションなどのデリバティブを利用してポートフォリオをヘッジする必要性が高まる。オプションは、原資産の価格上昇または下落に対する保険として機能する。コールオプションは価格上昇に対する保険として機能し、プットは価格下落に対する保険として機能する。

デリビットの選挙満期オプションは、協定世界時(UTC)7月18日午前8時(日本時間午後5時)に取引が開始され、11月5日に結果が発表された3日後の11月8日に終了する。デリビットでは、1つのオプション契約は1BTCまたはETHを表す。

「これらのオプションは、デリビットの賢明な戦略だ。トレーダーは選挙の前、最中、そして選挙後に、選挙結果から3日間の余裕を持ってポジションを取ることができる。レバレッジをかけながら同時にエクスポージャーをヘッジできる素晴らしい方法だ」と、CECキャピタル(CEC Capital)の暗号資産ETP(上場取引型金融商品)スペシャリストであるローラン・キシス(Laurent Ksiss)氏はCoinDeskに述べた。

伝統的な市場トレーダーは、アメリカ大統領選挙や企業の業績など、結果が不確実なバイナリーイベントに直面した際に、オプションを利用してエクスポージャーを管理している。

「トレーダーが、二律背反のイベントの結果として、資産価格がどちらかの方向に大きく変動する可能性があると考えた場合、見出しのイベント後に満期日が到来する、同じ権利行使価格のプットとコールを購入するストラドル戦略を取ることができる」と世界のデリバティブ取引の最大手であるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が「選挙年にオプションを利用」と題した解説で述べている。

「このような取引は、マクロ経済に関する重要な発表や企業の決算報告の前に行われることが多い。原資産がオプションのコストよりも行使価格から大きく離れた場合、この取引は利益を生むことになる」と解説記事は付け加えている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Deribit’s New Bitcoin, Ether Options Tied to U.S. Elections Get Thumbs Up From Crypto Traders