いいえ、サトシ・ナカモトではありません──偽物ビットコイン発明者が裁判所命令で告知文

オーストラリアのコンピュータ科学者であり、自らがサトシ・ナカモトだと過去に主張したクレイグ・ライト(Craig Wright)氏は、自身のホームページを更新して自分がビットコインの発明者ではないことを宣言する法的告知文を掲載せざるを得なくなった。

同氏のウェブサイトに6ヶ月間にわたって表示されなければならないこの告知文では、ライト氏がサトシ・ナカモトだと主張した公判において「広範囲に、繰り返し」嘘をつき、「『大規模な』文書偽造によって虚偽の物語を作ろうとした」と述べられている。「複数の法的行為」を通じて氏が嘘に嘘を重ねたことは、英国、ノルウェー、米国の法制度に対する「最も深刻な侵害」であると記され、ライト氏に対する判決全文および「ライト博士が作成したさまざまな偽造文書を詳述した付録 」にもリンクされている。

今回の告知文は、ビットコイン開発者たちを代表する非営利団体 Crypto Open Patent Alliance(COPA)が同氏を相手取って起こした訴訟を担当した英国のジェームズ・メラー(James Mellor)判事によって下された命令の一部である。

COPAは、ブロック(Block)のジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏やコインベース(Coinbase)のような暗号資産(仮想通貨)業界の大物やヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)等の組織から資金提供を受けており、2021年にライト氏を提訴した。これには、同氏がサトシ・ナカモトではないとはっきりさせることで、氏がビットコインのホワイトペーパーについての著作権を主張したり、ビットコインを作ったという大義名分をかざして自分に批判的な物言いをする者や開発者を訴えることを未然に防ぐ目的があった。

SNSへの掲載まで命じられる

今年初めにライト氏がビットコインの生みの親ではないと裁定され、その2ヵ月後に出された判決文では、同氏が公判を通じて嘘をつき、証拠を偽造したと断じられた。

現地時間7月16日、メラー判事はライト氏およびその同僚であり主たる証言者であった、nChainの共同創業者ステファン・マシューズ(Stefan Matthews)氏に対して、偽証罪で起訴相当だと英国検察当局であるCrown Prosecution Service(CPS)に付託する最終的な判決を下した。

メラー判事により下された命令はこの判決の一部であり、ライト氏はさらに、自身のX(旧ツイッター)アカウントおよび支援者たちと連絡を取るSlackチャンネルにも同様の告知文を掲載するよう命じられている。

なお、現地時間5月20日付けのライト氏の投稿では、自分がサトシ・ナカモトではないという裁定に対して不服であるとする意思表明がなされていた。

メラー判事による判決文の中では、ライト氏がそのソーシャルメディア上での発言とは異なり、「上訴の手続き申請はなされていない」と記されている。

|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:Shutterstock
|原文:After Court Order, Craig Wright Updates Website With Admission He Is Not Bitcoin Creator Satoshi