ビットコイン、6万7000ドル超え──世界中でITシステム障害が起きるなか、分散型システムのメリットに注目か
  • ビットコインは1カ月ぶりの高値を記録、24時間で5.5%上昇した。
  • ソラナは8%上昇、6月初旬以来となる170ドル超え。
  • ITシステムに世界的な混乱を引き起こしたソフトウェア・アップデートの不具合を受け、暗号資産専門家は分散型ブロックチェーンのレリジエンシー(回復力)を強調している。

暗号資産(仮想通貨)は19日、再び上昇を始め、ビットコイン(BTC)は1カ月ぶりの高値を記録した。一方、大規模なIT障害がグローバル規模で発生した。

ビットコインは米国の取引時間序盤に6万4000ドル付近から上昇を始め、午後には6万7000ドルを突破、6月17日以来の高値となった。価格上昇により、ブラックロック(BlackRock)のビットコインETF「IBIT」の取引高も大幅に増加した。

ビットコインは当記事執筆時点、6万7000ドルをわずかに上回り、24時間で5.5%上昇(日本時間20日6時頃には6万7080ドル付近)。

ソラナ(SOL)は、8.5%上昇で、主要アルトコインでは最も上昇し、6月初旬以来初めて170ドルを上回った。CoinDesk 20 Index(CD20)は4.3%上昇。

イーサリアム(ETH)は3500ドル台を回復したものの、上昇は3%にとどまった。Cboeが20日、SEC(米証券取引委員会)に提出した書類によると、米国初のイーサリアム現物ETFは来週23日に取引がスタートする見込み。

(CoinDesk)

今週初め、米株式市場に連動して暗号資産市場は下落した。しかし、19日の上場は、主要株価指数が下落するなかで起きた。

テック銘柄の比重が高いナスダックは0.8%下落、幅広い銘柄で構成されるS&P500は米東部時間13時時点で0.6%下落。金(ゴールド)価格は今週初めに史上最高値を更新した後、24時間で2%超えの下落となった。

サイバーセキュリティ・サービスプロバイダーのクラウドストライク(CrowdStrike)によるソフトウェアアップデートにより、世界中のコンピューターがダウンし、航空会社、銀行をはじめ、さまざまな企業が業務を停止する事態となった。一部の暗号資産専門家は、中央集権型ネットワークと比較して、パブリックブロックチェーンなどの分散型システムのレリジエンシー(回復力)を強調した。

ワオ、文明規模のテクノロジーにおける単一障害点は、分散型インフラの構築によって軽減すべきものなのですね? 知らなかった、今、初めて聞きました。

暗号資産ヘッジファンド、カプリオール・インベストメンツ(Capriole Investments)の創設者、チャールズ・エドワーズ氏(Charls Edwards)は、ビットコインが米株式市場の取引開始とほぼ同時に上昇したことに注目した。これはおそらく、機関投資家の買い気配のサインだろう。

「マイクロソフトのシステムがブルースクリーンになって停止し、世界中のテクノロジーと銀行システムが機能不全に陥るなか、複数の機関投資家が目覚め、ビットコインは分散型の価値の保存手段であり、安全な避難所だと決断したのだろうか」と同氏はXに投稿した。

ビットコイン、年末までに10万ドルを視野に

より長い時間軸で見ると、ビットコインは5万6000ドル〜7万3000ドルの数カ月にわたるレンジ相場の中間付近で取引されている。当面、レンジ相場が続く可能性が高いが、トレーダーは11月の米大統領選に向けて、史上最高値を更新する上昇に備える姿勢を強めていると、暗号資産ヘッジファンドのQCPは述べている。QCPのアナリストは、機関投資家からの12月、10万ドルのビットコイン・コールオプションに対する強い需要を指摘した。

Steno Researchの暗号資産アナリスト、マッズ・エバーハート(Mads Eberhart)氏は、今年後半の暗号資産市場について強気の見通しを示した。その要因には、米国での利下げ、流動性の上昇、欧州での規制の明確化、暗号資産に友好的な米大統領の登場の可能性など、複数の追い風があるとしている。

「ビットコインは10万ドル、イーサリアムは6500ドル」と同氏はターゲット価格をあげた。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Tops $67K as Cryptos Rally Amid Global IT Outage; Solana’s SOL Leads Altcoins