私が大学生の頃、SNSが大流行した。それまでは、インターネットは読むだけのもので、Webページにアクセスし、あるトピックに関する誰かの意見を読むだけだった。
我々はそれ以上のものを求めていた。自分の写真を投稿し、自分の意見を表明し、友達と共有したかった。あの頃は素晴らしかった。誰もがインターネットを愛し、すべてが無料だった!
しかし、我々は徐々に、何かが無料であることは、自分自身が商品であるということを学んだ。もっと正確に言うと、自分のデータが商品だ。
でも、それはある意味フェアだった。あなたは、運営費がかかるプラットフォームにアクセスでき、その見返りとして、あなた自身に関するデータを提供する。プラットフォームはこのデータを使ってあなたに関連する広告を販売し、広告会社は適切なオーディエンスにリーチし、誰もが得をする。
時が経つにつれて、データ収集はより高度になり、押し付けがましくなり、利益は増加したが、ユーザー側が得るものは変わらなかった。
このモデルは非常に収益性が高かったため、ソーシャルメディアやオンライン新聞から、広告を表示するテレビまで、あらゆる場所で導入されることになった。そして、フライトトラッキングにさえも。この最後の点については、また後で触れることにしよう。
利益分配の問題
Web3は我々に解決策を約束した。データを手放す代わりに、その所有権を保持したらどうだろう?
前回の強気相場では、誰もがWeb3が解決できる問題を見つけようとした。アート、腕時計、カーボンクレジット、ミームなど、あらゆるものがトークン化された。本来なら逆であるべきだった。まず問題を特定し、次に解決策を適用するべきだ。
ヘリウム(Helium)はまさにそれを実践していた。Web3のインセンティブを利用し、IoTセンサーへの接続を提供するホットスポットの分散型ネットワークを構築した。
互いに面識のない人々にインセンティブを与え、彼らが協力し、自宅のWi-Fiネットワークを組み合わせることで、史上最大の通信ネットワークを構築した。
これは、問題はデータの所有権にあるわけではないことを証明することで成功した。データ提供者や、データを移動させるためのインフラを提供する人々の間で、利益がどのように分配されるかが問題なのだ。価値は、データを生成する人々のネットワーク、つまりDePIN(分散型物理インフラネットワーク)にある。
フライトトラッキングにDePINモデルを活用
では、これがフライトトラッキングとどんな関係があるのだろうか?
飛行愛好家のコミュニティは、小規模だが世界的なグループであり、周辺を飛ぶ飛行機からデータを収集し、いくつかの大規模なフライトトラッキングネットワークに送信する。その見返りとして、彼らはプラットフォームへのフルアクセスを得る(聞き覚えのあるモデルではないだろうか?)
これらのネットワークはデータを収集し、航空、旅行、ロジスティクス業界のあらゆる種類の企業に販売する。データは航空業務に不可欠なものだが、安価なシングルボードコンピュータ「ラズベリーパイ」を使う愛好家によって収集されている。
Flightradar24やFlightawareのようなフライトトラッキング・ネットワークは非常に収益性が高いが、これらのネットワークを可能にしているデータを提供している人々は、その貢献に対して報酬を得ていない。
ウィングビッツ(Wingbits)はフライトトラッキングにDePINモデルを適用することで、データ提供者がそのパフォーマンスとアップタイムに基づき、提供するデータが生み出す利益の分け前を得る、よりフェアでパフォーマンスの高いネットワークを構築している。
他のネットワークのデータ提供者は、対象範囲とアップタイムを最大化するインセンティブを持たないが、ウィングビッツの報酬モデルは、最高の参加者が最も多くの利益を得ることを保証する。
これは正しいやり方であり、我々はその結果を目にすることができる。2023年11月にパブリックベータ版をローンチして以来、ウィングビッツのコミュニティは40から1450以上のライブアンテナ数を誇るまでに成長し、半年でFlightradarの最初の3年間を上回る成長を遂げた。
我々は現在、ヨーロッパとアメリカの大部分をほぼ完全にカバーし、毎日3万5000便以上のフライトを追跡している。
私はDePINにとてもワクワクしている。DePINは現実世界における価値を創造し、我々全員が好きなようにデータを収益化する機会を与えてくれる。新たに登場してくる各種プロジェクトは、既存のビジネスモデルに挑戦し、自分たちのデータには価値があり、我々はそれを手放すべきでないという市民の認識に再び火をつけるだろう。
|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Wingbits(キャプチャ)
|原文:Taking off: Rewarding Flight Trackers in the Age of Web3