ピーター・ティールのVC等から23億円調達のカルデラ──イーサリアムのレイヤー2台頭に照準

イーサリアムのレイヤー2エコシステムが急成長する中、カルデラ(Caldera)の「メタレイヤー(Metalayer)」は、複数のネットワークにまたがるアプリケーションを開発者が迅速に立ち上げられるように支援する目的を持つ。

開発者がレイヤー2のブロックチェーンを素早く立ち上げることを支える「ロールアップ・アズ・ア・サービス(rollup-as-a-service)」プラットフォームであるカルデラは、ピーター・ティール(Peter Thiel)氏によるファウンダーズファンド(Founders Fund)が主導する1,500万ドル(約23億2,500万円、1ドル=155円換算)の資金調達シリーズAラウンドを終了した。

同社CEOのマット・カッツ(Matt Katz)氏はCoinDeskとのインタビューで、今回調達した資金により同社の15人チームを拡大し、メタレイヤーを構築することができると語った。これは、複数のブロックチェーンにまたがるアプリケーションの起動プロセスを簡素化する相互運用性のエコシステムである。

現在、カルデラはイーサリアムにデータを記録しつつ、より迅速で安価な取引を提供するレイヤー2の「ロールアップ」チェーンを立ち上げるためのシンプルなインターフェイスを提供している。カルデラの提供によって、アービトラム(Arbitrum)、オプティミズム(Optimism) 、ポリゴン(Polygon)のような人気のあるロールアップ構築フレームワークにプラグインすることが可能となる。開発者はロールアップ・エコシステムを選択でき、自身のユースケースに合わせてコンポーネントを入れ替えることができる。

同社は「多くのブロックチェーン・プロジェクトが、ロールアップの展開と保守において益々課題に直面している。その原因は、プロトコルやサイト信頼性エンジニア(SREエンジニア)の雇用が高コストでプロセスが遅く、リスクを抱えるためだ」と説明する。そして、「カルデラは、プロジェクトがワンクリックでロールアップを展開できるようにすることでこれを解決し、社内のエンジニアリングチームを不要にする」とのことだ。

同社のシリーズAラウンドには、ドラゴンフライ(Dragonfly)、セコイア・キャピタル(Sequoia Capital)、アークストリーム・キャピタル(Arkstream Capital)、ラティス(Lattice)が参加し、2022年に設立された同社の資金調達総額は2500万ドル(約38億7,500万円、1ドル=155円換算)に達した。

イーサリアムのレイヤー2から生まれるビジネス

今回新たに行われた資金調達は、イーサリアムのレイヤー2エコシステムが急速に拡大し、ロールアップチェーンがネットワーク全体の活動においてレイヤー1のイーサリアム・チェーンを急速に凌駕している中で行われた。「現在、あちらこちらでチェーンが立ち上げられている」とカッツ氏は述べる。

イーサリアムのレイヤー2ブームによる需要に対応するため、開発は急ピッチで進められている。 人気の高いArbitrumやOptimismチェーンの次点に位置するような古株のロールアップチームは、開発者が相互運用可能な独自のブロックチェーンを構築できるようなテンプレートをリリースしている。セレスティア(Celestia)やEigenDAのような新しい「データ・アベイラビリティ」レイヤーも、すべての新進ブロックチェーンによって生成される大量の取引データを保管することで台頭してきた。

直近では、流動性が無数の異なるレイヤー2エコシステム間で分断されるようになったため、ポリゴンのAggLayerとzkSyncのエラスティック・チェーン(Elastic Chain)が、異なるネットワーク間で資金がより効率的に流れるよう支援するサービスを開始している。

カッツ氏によれば、カルデラとそのメタレイヤーの新たな取組は、成長著しいレイヤー2インフラ・コンポーネントの世界と正面から競合するのではなく、それを補完するように設計されているという。

「マルチチェーン向けに開発するのであれば、一度に100万もの異なるチェーンを相手にすることになる」が、「アプリやインフラの開発者が、基本的にすべてのカルデラ・チェーン(できればイーサリアム上のすべてのロールアップ)に同時に配置・運用できるようにするための入り口として、メタレイヤーを位置づけていただきたい」と同氏は述べる。

|翻訳・編集:T.Minamoto
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|原文:Rollup-in-a-Box Startup Caldera Raises $15M From Peter Thiel’s Venture Fund