- 中国の予想外の利下げはパニックを示唆し、市場のリスク回避姿勢を強めた。
- ある観測筋は、米国債のイールドカーブのスティープ化が最大のリスクだと指摘した。
中国が1週間で2度目となる利下げを行ったことで世界第2位の経済が不安定化するとの懸念が高まり、リスク資産は25日に下落した。
暗号資産や株が下落
ビットコイン(BTC)は、協定世界時(UTC)午前0時以降、2%近く下落して約6万4000ドル(約960万円、1ドル150円換算)付近に達した。イーサリアム(ETH)は5%以上下落し、アルトコイン市場全体の下落を牽引した。暗号資産(仮想通貨)市場のベンチマークであるCoinDesk 20 Index(CD20)は24時間で4.6%下落した。
Investing.comによると、株式市場では、ドイツのDAXやフランスのCAC、ユーロ圏のEuro Stoxx 50が1.5%以上下落し、ハイテク株中心のナスダック100に連動する先物は、同指数が24日に3%下落したことを受けて若干下落した。
中国人民銀行のサプライズ利下げ
中国人民銀行(PBoC)は25日序盤、1年物中期貸出金利を2.5%から2.3%に引き下げると予定外にサプライズで発表し、市場に2000億元(275億ドル)の流動性を注入した。これは2020年以来最大の引き下げとなる。
今週他の借入金利も同様に引き下げられたことと併せて、この動きは、最近三中全会で景気押し上げの期待がほとんどなかったことを受けて、政策当局が成長を支えようと急いでいることを示している。今月初めに発表されたデータによると、中国の経済は第2四半期に年率換算で4.7%拡大したが、これは予想の5.1%よりはるかに弱く、第1四半期の5.3%よりも低い。
Marex Solutionsのシニアグローバルストラテジスト、イラン・ソロット(Ilan Solot)氏はCoinDeskに送ったメモで、「昨日の激しかった取引時間にすべての資産クラスの見方が揺らいだ後、株式先物は安定している」とし、「中国人民銀行がサプライズで利下げを決定したことは、パニック感をさらに増しただけだ」と述べた。
イールドカーブのスティープ化が脅威
ソロット氏は、今月これ以前にCoinDeskが報じたように、暗号資産を含むリスク資産に対する脅威として進行中の「米国債のイールドカーブのスティープ化」を指摘した。
イールドカーブは、長期債と短期債の利回りの差が拡大するとスティープ化する。今月、10年国債と2年国債の利回りの差は、主に10年債利回りが下がりにくいことが原因で、20ベーシスポイント上昇して-0.12ベーシスポイントとなった。
いわゆる逆イールドが起きたときは、歴史的にリスク回避が行われている。
ソロット氏は、「私にとって最大の懸念は、スティープ化を続けている米国債のイールドカーブの形状だ。2年物と10年物のカーブは、-12bpsの逆イールドになっているだけでなく、先月は-50bpsだった。最近の動きを主導したのは、長期(10年物)利回りの上昇と短期利回りの低下だ」と指摘した。
これは、市場が米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを期待しているものの、根強いインフレと拡張的財政政策をリスクの増大と見ていることの表れだとソロット氏は述べた。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Moerschy/Pixabay
|原文:Bitcoin, Stocks Bleed as China Rate Cuts Signals Panic, Treasury Yield Curve Steepens