- 資産運用会社VanEckのレポートによると、ビットコインは2050年までに国際取引の10%、国内取引の5%を決済するようになり、中央銀行はビットコインを準備資産として保有するようになる。
- ビットコインのレイヤー2ネットワークは、スケーリングの問題を克服し、ビットコインが交換媒体として用いられるようになるうえで重要な役割を果たす、としている。
- ビットコインの成長に対するリスクとしては、電力需要の高まり、各国政府が協調して行う取り締まり、他のデジタル資産との競争などが挙げられた。
ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)のスポットETF(上場投資信託)を発行する資産運用会社VanEckは、ビットコイン価格が2050年までに290万ドル(約4.5億円、1ドル=155円換算)に達する可能性があるとした。とはいえ、高いハードルを乗り越えた場合、という前提付きである。
現地時間7月24日に発表されたVanEckのレポートでは、地政学的緊張の高まりと債務返済コストの膨張に既存の体制が綻びを見せる中、今後数十年でビットコインが国際的な通貨体制に不可欠な存在になると予想する。
同社デジタル資産調査部長で、このレポートの著者の一人であるマシュー・シゲル(Matthew Sigel)氏は「現在の世界を見渡してみると、経済面での不均衡が大きく、既存の制度に対する不信感が高まり、グローバル化が進んでいる。」と、CNBCによる現地時間7月24日のインタビューで語った。
「我々は、こうした歪みの多くは、世界金融危機以降、G7各国が徒に紙幣を刷り、借金を達成不可能な目標のために費やしてきたことによる大規模な資本配分の誤りに起因すると考える」と同氏は説明する。
「ビットコインは、益々無謀になっている財政に対する究極のヘッジだ」と同氏は述べた。
今回のレポートでは、ビットコインが国内および国際取引において重要な交換媒体となり、国際取引における決済の10%、GDPの5%を占めるのを基本シナリオとしている。
その一方で、米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円の4大基軸通貨の代わりに、世界的な準備資産としても成長し、国際通貨準備に占める割合は2.5%に達すると予想された。
仮にVanEckの予想通りに事が運べば、ビットコインの価格は44倍になり、現在の65,000ドル(約1,000万円)弱から毎年16%上昇する。時価総額は61兆ドル(約9,455兆円)にまで高騰するだろう。
ビットコイン・ブロックチェーンのボトルネックやスケーリングの問題は、ビットコインが便利な価値交換の媒体となるのを阻害しているが、レイヤー2ネットワークの普及は、その克服に重要な役割を果たすだろうとレポートでは説明された。イーサリアムのレイヤー2に対してと同じ評価方法を当てはめると、このセクターは2050年までに全体で7.6兆ドル(約1,178兆円)の価値を持つ可能性があるという。
VanEckはまた、ビットコインの成長を抑制しかねない潜在的なリスクについても警告している。
マイナーによるエネルギー需要の増加には技術革新が必要であり、一方、ネットワークを維持するうえでマイナーのインセンティブを高めるためには、減少する(4年ごとに半減する)マイニング報酬に代わるトランザクション処理からの収益が劇的に伸びる必要がある。ビットコインを制限または違法化しようとする世界各国の政府が協調して行う取り組みも脅威となる。
さらに、他の暗号資産(仮想通貨)との競争や、大手金融機関による過度なコントロールなどのリスクも指摘されている。
|翻訳・編集:T.Minamoto
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|原文:VanEck Sees Bitcoin Hitting $2.9M by 2050 – but a Lot Has to Happen First