トランプ支持、中国は規制堅持、コインベース取引量半減──予想市場の直近動向

今週の予想市場動向

ハリス氏躍進の一方で、ポリマーケットの大口投資家はトランプ氏を支持。
中国が2024年にビットコインへの規制を解除することはないという見方が強い。
コインベースの取引量が第2四半期に半減と目される。

ジョー・バイデン（Joe Biden）大統領が民主党からの立候補を断念してから1週間、その伴走者であるカマラ・ハリス（Kamala Harris）の台頭で、民主党が勝つ確率は18％から38％へと順調に倍増した。

予測市場のポリマーケット（Polymarket）による調査結果でハリス氏の上昇が見られたのは、少額を賭ける個人勢が市場に参入したためと思われる。

一方、トランプ氏に賭ける層はより一層強い信念を持っているようだ。トランプ氏当選を推す側の上位5人で合計910万シェアを擁し、トランプ氏が勝てば910万ドル（約14.1億円、1ドル＝155円換算）に値する。対して、ハリス氏当選を推す上位5人は合計470万シェアとなっている。

総じると、大統領選の結果に対しては4億2300万ドル（約655.7億円）が賭けられている。

トランプ氏「当選」に対して最も高い賭け金を投じた人物が、ハリス氏「落選」への賭け金でも最高額となっている。

このユーザーは、”larpas”というハンドルネームで、ハリス氏でなくトランプ氏が当選した暁には、338万ドル（約5.2億円）を手にすることになる。

民主党が暗号資産（仮想通貨）業界を取り込む手を模索する中、ハリス氏への投票はデジタル資産業界への反対票であるという考えに暗号資産コミュニティはより傾きつつあり、11月の選挙に向けて賭けが行われるこの市場は白熱する模様だ。

また特筆すべきは、まもなくポリマーケットにレバレッジが導入されることで、トレーダーはより多くのリターンを得るべく、より大きなポジションを持つようになるかもしれないということだ。

PoliFi（政治と金融の合成語）トークンのセールスポイントの1つであった、より大きなリターンを得るためのレバレッジ取引は、こうしたベッティング市場以外ではすでに存在している。しかし、それらの多くは赤字であり、この市場が関心の目を向け続けるかどうかは定かでない。

中国はビットコインを禁止し続ける

デジタル業界に見られるこれまでの中国の方針は、ビットコイン（BTC）が成熟する一助となってきた。BTCチャイナ（BTC China）やバイナンス（Binance）のような最初期のビットコイン取引所は中国が本拠地だ。

しかし、中国とビットコインの関係は複雑である。

中国本土では暗号資産取引所が禁止され、金融機関がバーチャルな通貨をやりとりすることは禁止されているが、暗号資産を所有し、ピアツーピアで取引することは禁じられていない。

香港の暗号資産上場投信（ETF）に投資家が参加できるようになる中、現在、中国本土では暗号資産禁止令が撤廃され、取引所が再び中国本土に拠点を構えることを認めるとの見方が強まっている。

しかしながら、市場は懐疑的だ。

ポリマーケットでの賭けにおいては、2024年末までに実現する可能性は16％しかないという。

ナッシュビルで開催されたBTC2024でトランプ氏が国家として戦略的にビットコインを準備金にしようという提案をした後、ジャスティン・サン（Justin Sun）のような業界関係者が「中国はこの分野でさらなる進展を遂げるべきだ」とX（旧ツイッター）に直近で投稿しているものの、中国本土がビットコインを完全に受け入れることは一筋縄ではいかないだろう。

主な問題は、中国政府が厳格な資本規制を通じて人民元の安定性を維持し、通貨の変動や資本逃避を防ぐために資金の流れを規制していることだ。もし規制が解除されれば、中国本土のトレーダーは管理を避けることが可能となり、人民元の安定性が損なわれることになる。中国ではすでに資本逃避が起こっており、暗号資産取引を認めることは、それを加速させることに繋がる。

ポリマーケットの参加者はこれを理解しているようで、だからこそ16％の確率しか与えられていないのだ。