暗号資産(仮想通貨)市場は米時間7月31日、FOMC(米連邦公開市場委員会)終了後に地政学的リスクの高まりが投資家の注目を集め、大幅に下落した。
ビットコイン(BTC)は、パウエル米FRB(米連邦準備制度理事会)議長の会見後には6万6500ドル前後から6万4500ドル前後となり、過去24時間で2%超の下落となった。イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、アバランチ(AVAX)、カルダノ(ADA)といった主要アルトコインも下落。
一方、エックス・アール・ピー(XRP)は、早朝の上昇をいくらか維持した。暗号資産市場のベンチマークであるCoinDesk 20 Index(CD20)は、0.8%下落。
売り圧は、イランはイスラエルへの報復を命じたとニューヨーク・タイムズが報じ、中東での紛争が拡大するリスクが高まったことを受けたものだ。イスラム組織ハマスは、最高幹部のイスマイル・ハニヤ(Ismail Haniyeh)氏がイラン訪問中にイスラエルによる攻撃で殺害されたと発表していた。
30日、31日の両日に開催されたFOMCでは、金利の据え置きが決定され、9月の利下げを確定する要素は見られなかった。だがパウエルFRB議長は、9月の利下げについてはまだ決定していないが、「全体的な感覚としては(利下げに)近づいている」と述べた。
暗号資産が下落する一方で、ほとんどの伝統的資産クラスは上昇した。米国債10年物の利回りは10ベーシスポイント下落し、金は1.5%上昇して2450ドル付近となり、過去最高値をわずかに下回った。WTI原油は5%上昇した。株式市場も上昇し、テック株の比重が高いナスダック100は3%上昇、S&P500は半導体大手エヌビディアの12%上昇に牽引され、2.2%上昇した。
資産クラスごとにパフォーマンスが異なったことは、トレーダーがFOMC前に取ったポジショニングが要因かもしれないとグレイスケール(Grayscale)のリサーチ責任者、ザック・パンドル(Zach Pandl)氏は述べている。
「株式は最近の下落後、やや過小評価されている可能性がある一方で、ビットコインは堅調な期間を経て、堅調な流入が見られる。一方、金は弱気な期間を経て上昇している」と同氏は述べた。
さらに「大局的に見ると、FRBの利下げ、暗号資産政策問題に対する超党派的な注目、そしてトランプ政権の2期目の可能性という見通しが組み合わさり、米ドル安を後押しする可能性がある。ビットコインにとっては非常にポジティブな要素と考えるべきだ」と同氏は結論づけた。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
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|原文:Bitcoin Tumbles Below $65K Post-FOMC as Middle East Tensions Flare