USDC発行のサークル株、上場前に評価額7500億円で取引か:情報筋
  • サークルの株式は、上場に先立ち、50億ドル前後の評価額で取引されていると言われる。
  • 同社が2022年に特別買収目的会社(SPAC)の取引で株式公開を試みて失敗した当時の評価額は、約90億ドルであった。

関係者3名からの情報によると、新規株式公開(IPO)に先立ち、サークル・インターネット・フィナンシャル(Circle Internet Financial)の未公開株は50億ドルから52億5000万ドル(約7500億から7875億円、1ドル=150円換算)の評価額で流通市場で取引されている。

時価総額で2番目に大きいステーブルコインのUSDコイン(USDC)を発行する同社は、予定される上場に先立ち、流通市場における株式の一部取引を許可している、と関係者2名が明かした。しかし、個別具体的な判断で、特定の条件下でのみ可能だという。

関係者の内の1名が言うには、売り手となっているのは、流動性の理由で手放すアーリーステージの投資家、または同社の社員であるとのことだ。会社が上場する前に従業員に対して保有しているストックオプションを収益化する機会が与えられることは多い。同社は50億ドル(約7500億)の評価額を下回るような取引は許可していないと、2名の関係者が明かした。

同社はコメントを差し控えている。コインベース(Coinbase)の支援を受けている同社は、2022年に約90億ドル(約1兆3500億円)の評価額に達し、コンコード・アクイジション(Concord Acquisition Corp.)という特別買収目的会社(SPAC)との取引を通じて株式公開を試みていた。

しかし、両社は2022年12月に提案されていた提携を解消すると発表することとなった。これは、米証券取引委員会(SEC)の承認が間に合わず、その1カ月前にはサム・バンクマン=フリード(Sam Bankman-Fried)のFTXが破綻し、暗号資産(仮想通貨)冬の時代が本格化したことを受けたものだ。

過去の評価額との差をどう見るか

関係者の1人が語るには、2022年時点の評価額と流通市場での取引額との差について投資家が気をもむには及ばないという。

流通市場が非常に落ち込んでいるのは、現金を調達する必要がある投資家が多く、どのような価格でも売ろうとするからだ、と付言された。流通市場とは、発行された株式や債券などの証券を投資家たちが売買する場所を指す。

同社は「USDCエコノミーの現状」と題した報告書を1月に発表し、10ドル(約1500円)分の残高があるUSDCウォレットの数は前年比59%増の約270万に達したと述べている。2023年の取引件数は11月末までに5億9500万件に達した。

今年1月、同社は初めて株式公開を申請し、米国証券取引委員会に機密扱いのS-1ドラフト書類を提出した。売出しの株式数と価格帯についての計画は決まっていないと、提出書類では説明されている。上場の正確な時期も分かっていない。

上場を前にして、同社は米国を新たな法的な本拠地とする意向だとブルームバーグが5月に報じているが、現在の本拠地であるアイルランドから移転するための書類が同社からは提出されている。

|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:Nikhilesh De/CoinDesk
|原文:Circle Said to Be Trading Around $5B Valuation Ahead of Planned IPO: Sources