メルカリの子会社で、暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行うメルコインは、8月1日より「ビットコインつみたて機能」の提供を開始する。メルカリアプリで簡単に設定でき、銀行からの自動引落しでビットコインをつみたてられるという。
新機能についての説明を行ったメルコイン代表取締役CEOの中村奎太氏はまず同社のポジションについて「メルコインは『多様な価値がめぐる新しい経済をつくる』というミッションを掲げ、メルペイ残高を利用し、資産形成ができる“増えるお財布”を掲げながら事業を推進してきた。価値の循環の中でも資産形成の役割を担ってきたと考えている」と述べた。
メルコインは昨年3月からビットコイン取引サービスを展開し、4月から1年間の暗号資産口座開設者数が業界No.1となるなど、ユーザー層を大きく広げてきていることはすでに伝えているとおり。日本の暗号資産口座数は、1000万口座を超えたが、その増加に大きく貢献している。
「他の主な金融サービスと比べると、まだ累計口座数に差はあるが、直近の1年間の増加ペースでは、300万増というのは、NISAや証券口座と同水準。暗号資産を含めた資産形成ニーズは今後、かなり大きく拡大していくと考えている」
また顧客層についても「メルコインはビットコインの裾野を広げてきた」として、暗号資産の未経験者に選んでいただき、若い世代にも広げてきた」「NISA、iDeCoなどに並ぶ“資産形成の間口”を広げられる新機能を実装することにした」と述べ、「ビットコインつみたて機能」提供に至った背景を述べた。
「ビットコインつみたて機能」の特徴については、「誰でもかんたん・安心なつみたて機能」を謳っている。メルカリで本人確認済であれば、最短30秒で口座開設は完了、その後、自分にあったつみたてプランを簡単に選ぶことができるという。
そしてメルカリ/メルコインのサービスのユニークな点、他社にない差別化ポイントが、万一、サービスを解除しても保有しているビットコインを「メルペイの残高」に戻すことができ、メルペイでの買い物に使えることだろう。
今後の展開について中村CEOは、ビットコインに続けて取り扱いを開始したイーサリアム(ETH)の積立や、メルカリの売上金を積立に使えるようなことを考えており、「メルカリの積立で気軽に資産形成を始めていただき、間口を広げていきたい」と述べた。
また新機能発表の後には、ファイナンシャルプランナーの高山一恵氏が「積立投資を取り巻く社会環境について」と題して、NISAやiDeCoの状況、積立は投資初心者に向いていることなどを説明。「ドルコスト平均法は下落相場をチャンスに変えることができる」と述べ、伝統的資産に比べて値動きが大きな暗号資産には積立投資が有効と解説した。
日本の暗号資産口座数の拡大に大きく貢献しているメルカリ/メルコイン。メルカリではビットコイン決済も可能になっており、利用者も増えているという。
ユースケース創出が課題となっている日本のWeb3/ブロックチェーン。メルカリ/メルコインが今後、どんな展開を見せ、マスアダプションを実現していくのか、注目される。
|文:増田隆幸
|写真・画像:メルコイン提供