投資家調査から浮かび上がる暗号資産への強い関心:EYパルテノン

懐疑論者も専門家も、デジタル資産、特に暗号資産(仮想通貨)は一過性のトレンドに過ぎないかもしれないと考えていた時期があった。しかし、そのような時期は過ぎ去り、デジタル資産エコシステムは受け入れられ、さらに加速するまでに成熟した。

EYパルテノン(EY-Parthenon)が最近実施した調査では、機関投資家の94%、個人投資家の83%がデジタル資産を長期的に信じていると回答している。この1年、世界中でETP(上場取引型金融商品)の承認、法案の作成(場合によっては可決)、アロケーションの増加、トークン化資産への関心の高まりが見られた。

投資家はより多くのサービスと選択肢を求めている

TradFi(伝統的金融)企業にとっては、既存顧客に新サービスを提供することで、有意義な収益を上げる大きな機会があり、暗号資産ネイティブ企業あるいはフィンテック企業にとっては、機関投資家向けの機能を提供する大きな機会がある。迅速に行動する企業が利益を享受できるだろう。

調査回答者のうち、機関投資家の54%、個人投資家の64%が資産アロケーションの増額を計画しており、現在の投資資金と比べて大きな伸びしろがある。

機関投資家の多くは、デジタル資産を管理するためにマルチ・カストディアン・モデルを求めており、カストディ以外にも、より多くの流動性プロバイダーへの接続、保有暗号資産に対する貸し借り、プライム・ブローカレッジ・サービスなどのサービスを求めている。要するに、伝統的な資産に対して今、TradFi企業から受けているサービスと同様のものだ。

個人投資家の72%は、デジタル資産を全体的な資産戦略の中核と見なしており、現在の資産・財産計画、税務・信託、アドバイザリーサービスの対象に暗号資産やデジタル資産を含めることを望んでいる。

数字で見ると、71%の投資家が暗号資産保有に関してファイナンシャル・アドバイザーやプランナーに助言を求めたことがあるか、求める予定であり、85%が暗号資産やデジタル資産を組み込んだ資産・財産設計に興味を示している。

認可商品を好む強い傾向

伝統的な資産運用会社やウェルスマネージャーは、デジタル資産コミュニティにおける認可商品への興味の高まりに留意すべきだ。

機関投資家の62%、個人投資家の57%が、認可商品を通じてデジタル資産に投資することを希望している。さらに掘り下げると、適格個人投資家が最も関心を寄せており、非適格投資家が認可商品を通じてデジタル資産にアクセスしたいという希望をほぼ2対1で上回っている。

調査はイーサリアムETF(上場投資信託)が承認される前に実施されたにもかかわらず、現在デジタル資産に投資している、または投資する予定がある機関投資家の47%、個人投資家の69%が、承認されればイーサリアムETFに投資する可能性があると回答している。

イノベーションと規制の明確化がチャンスを生む

投資家は、デジタル資産がもたらす新たな力に関心を寄せている。機関投資家も個人投資家も、トークン化資産がポートフォリオの分散を改善し、オルタナティブ投資のような新たな資産クラスへのアクセスを可能にする機会があると考えている。

さらに、資産運用会社も個人投資家も、デジタル資産を決済に利用することに安心感と関心を高めている。資産運用会社、銀行、決済プロバイダーなどは、こうした関心の高まりにビジネスチャンスを見出せるだろう。

規制がより明確になるにつれて、機関投資家、個人投資家双方にとって、より多くの機会がもたらされることが期待される。より洗練されたプレーヤーが市場に参入するにつれ、デジタル資産に関連するユースケースの需要増に対応するために、暗号資産ネイティブプレーヤーによるイノベーションの提供や、より多くの既存金融プレーヤーによる新サービスの提供が増えるだろう。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Investor Surveys Reveal Strong Interest in Digital Assets