- 暗号資産(仮想通貨)プラットフォームの元CEOが、民主党の大統領候補指名を確実にしているカマラ・ハリス副大統領の暗号資産業界における支持者を増やそうとしている。
- Upholdの元CEO、J.P.ティエリオ(J.P. Thieriot)氏は、トランプ前大統領に対する業界の最近の熱狂的支持に対抗したいと語っている。
トランプ氏は「カラ約束」
暗号資産プラットフォームUpholdの元CEO、ティエリオ氏は、大統領選挙で民主党候補指名を目指すカマラ・ハリス副大統領への暗号資産業界からの支持を集めようとしている。ティエリオ氏によれば、トランプ前大統領は業界にカラ約束をしており、ハリス氏は新たな開かれた姿勢を見せているという。
トランプ氏は、(最近まで公然と懐疑的な目で見ていた)暗号資産セクターに好意的な姿勢を情熱的に見せることで、業界の裕福なリーダーたちから支持を集め、急速に暗号資産業界の人気者となっている。
しかしティエリオ氏は、「暗号資産に関するハリス陣営の立場を形成する手助けをする真の機会」があるようだと語った。
「もちろん、ハリス氏には信頼を得るために行わなければならないこともあるが、彼女はチャンスが欲しいという意思表示をしている。そこに関わっていかないとしたら、それこそどうかしている」と、Upholdの株式をまだ保有し、新しい暗号資産取引事業を構築中のティエリオ氏は語った。
ティエリオ氏は、暗号資産専門の弁護士を含む幅広いグループと戦略文書をまとめた。彼らは先日、文書をハリス陣営と共有し、返答を待っているところだ。
CoinDeskが入手した戦略文書には、「我々は、暗号資産が今回の選挙戦において州をまたいで勝敗の鍵を握る最重要の論点になると考えている」と書かれている。
さらに、「トランプ氏はすでにこの業界を取り込もうと動き、多額の資金を調達したが、曖昧な決まり文句を繰り返すだけで、意味のある政策的な約束はしていない」との指摘も並んでいる。
ハリス氏への期待
戦略文書は、暗号資産業界による資金集めイベントをサンフランシスコで開催することを提案し、ハリス氏が著名な暗号資産関係者から支持を集め、業界から数千万ドルの献金を獲得できる可能性があるとも予測。ティエリオ氏はそのためのウェブサイトを立ち上げ中だ。
業界からの支持は、テネシー州ナッシュビルで先日開催された「Bitcoin 2024」カンファレンスでスピーチしたトランプ氏に大きく集まっている。
トランプ氏は、SEC(米証券取引委員会)のゲンスラー委員長の行動やエリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州選出)の敵対的姿勢に代表される、暗号資産に対する政府の抵抗に歯止めをかけると語っている。
バイデン大統領がゲンスラー氏を任命し、暗号資産分野の取り締まりを継続的に支持しているにもかかわらず、「カマラ氏には、白紙の状態に戻すチャンスがあると思う」とティエリオ氏は語った。
ティエリオ氏や他の支持者たちが考えている戦略は、政権が業界と協力し、業界に対する明確なルールを支持することをカマラ氏が明確に示し、暗号資産に友好的なSEC委員長を任命することに対してもオープンな姿勢を示すというものだ。
ハリス氏を支持する暗号資産関係者はティエリオ氏だけではない。著名な暗号資産法教授で、デジタル・カレンシー・グループ(Digital Currency Group)の取締役であるトーニャ・エバンス(Tonya Evans)氏は、ハリス氏は現政権を支配してきたゲンスラー氏/ウォーレン氏の見解とは異なる新たな方針を打ち出すチャンスを提供すると主張した。
エバンス氏はカマラ氏を支持する分散型金融業界のリーダーたちのグループに参加している。
直近の全米世論調査では、ハリス氏がトランプ氏をわずかにリードしているものもあるが、ほぼ互角の戦いとなっている。
|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:カマラ・ハリス米副大統領(lev radin / Shutterstock.com)
|原文:Crypto Exec Pushing for Industry Support of Kamala Harris for President