- トランプ前大統領は現地時間8月2日、米国政府が暗号資産の推進に舵を切ることの利点を主張した(下記に書き起こしあり)。
- トランプ大統領のビットコインに関するコメント、特に国の抱える債務問題に対する潜在的な救世主としての暗号資産に言及した箇所を、ハリス副大統領の陣営は取り上げた。
- ハリス氏による大統領選への出馬からは日が浅く、暗号資産に関する政策的見解にはまだ触れられていない。
ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領は現地時間8月2日放映のインタビュー中で、暗号資産(仮想通貨)業界の「非常に、非常に賢い人々」に対する賞賛を更に重ねた。これは、米国がビットコイン(BTC)を受け入れて、35兆ドル(約5250兆円、1ドル=150円換算)の国家債務に対する方策の一助とする可能性を示唆するものだ。
「まだ誰にも分からないが、我々は35兆ドルを返済し、暗号資産の小切手を渡すことになるかもしれないではないか」
トランプ氏はフォックス・ビジネス(Fox Business)のマリア・バーティロモ(Maria Bartiromo)氏のインタビューでこう提案した。
「多少のビットコインを渡して、35兆ドルを帳消しにするのだ」
大統領選で民主党からの対抗馬と目されるカマラ・ハリス(Kamala Harris)副大統領は、暗号資産に対する自身の見解について、まだいかなる政策的な発言もしていないが、同氏によるX(旧ツイッター)上のキャンペーンアカウントのひとつ(「迅速対応」キャンペーン)では、トランプ氏によるコメントを流すことで、その見解を非難しているようだった。
トランプ氏による発言の大半からは主な関心が米国の対中競争力にあることか示唆されたが、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領による現政権とその暗号資産に対する立場を揶揄する発言もあった。
「バイデンは封じ込めようとしてるが、彼にそこまでの脳はない」とトランプ氏は語った。
「この男がそういう風にあなたに対して何かをを止めろと言ってくる姿など想像できるか。彼には暗号資産が一体何なのかわかっていない。しかし、もし我々が暗号資産を受け入れなければ、他国の人々が受け入れるだろう」
これまでのところ、トランプ前大統領は著名な暗号資産の擁護者から多額の支援を集めている。暗号資産業界の一部にはハリス氏への支持も検討している兆しがみられるが、ハリス氏がどう考えているかについてとても知りたがっている。
トランプ氏による暗号資産へのコメント
以下が、暗号資産に関してバルティロモ氏の行った質問に対するトランプ氏の回答を書き起こしたものだ。
ドナルド・トランプ氏:暗号資産は非常に興味深い。ある意味ではとても程度が高く、知的にも非常にハイレベルなものだ。そして、我々がやらなければ、中国がやるだろう。中国はいずれにせよやるつもりだ。私たちがやらなければ、中国がやることになる。中国はすでにやっているし、私たちがやらなければ、他の国々がやることになる。つまり、我々が最前線に立ったほうがいい。
暗号資産の世界には、わが国を愛する非常に頭のいい人たちがいて、彼らはそれを良いことだと考えている。まだ誰にも分からないが、我々は35兆ドルを返済し、暗号資産の小切手を渡すことになるかもしれないではないか。多少のビットコインを渡して、35兆ドルを帳消しにするのだ。(中略)
すでに耳目を集める存在であり、動きは進んでいて、規制は非常に緩い。暗号資産が歩みを進めている理由のひとつとして、そういうことが挙げられる。しかし、暗号資産は通貨としては異なる形態をとっており、最終的には米国に利益をもたらすだろう。だが、我々がそれを封じ込めれば、ご存じの通りバイデンが封じ込めようとしているが、彼にそこまでの脳はない。この男がそういう風にあなたに対して何かをを止めろと言ってくる姿など想像できるか。彼には暗号資産が一体何なのかわかっていない。
しかし、もし我々が暗号資産を受け入れなければ、他国の人々が受け入れるだろう。暗号資産はもう既に巨大な存在なのだ。市場規模を見れば、既に世界のどの企業よりも大きいという記事を読んだだろうか。多くの国家よりも大きいのだ。とても重大なことなのだ。もし私たちがその先導者にならないというのならば、さて、我々には先導者として活躍している人材がいるし、私はその内の何人かを知っているが、彼らはとても聡明だ。もし我々が暗号資産を受け入れなければ、他の国々が受け入れるだろう。いずれにせよ、他の国々はそうするだろう。一方で、我々は先導者になれるのだ。我々が先導者になったほうがいいではないか。
|翻訳・編集:T.Minamoto
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|原文:As Trump Suggests Crypto as a Fix to U.S. Debt, Harris Camp Highlights His Remarks