国内暗号資産(仮想通貨)取引大手は市場が横ばい推移となった第1四半期も好調な業績をあげた。SBIホールディングスとマネックスグループはそれぞれ2025年3月期第1四半期(2024年4月〜6月)の決算を発表した。
大幅な増収増益:SBIホールディングス
SBIホールディングスは8月2日、決算説明会を開催。第1四半期でもあり、説明は北尾吉孝会長ではなかったが(北尾会長は通常、第2四半期と通期の説明会に登壇)、暗号資産事業の収益(売上高)は186.3億円となり、過去最高を記録、前年同期の68.45億円から172%増、つまり3倍弱の伸びとなった。税引前利益も13.57億円と過去最高となり、前年同期の4.98億円から173%増となった。
同社は決算説明会資料に「暗号資産市場が堅調に推移するなか、当社グループの暗号資産取引所における顧客基盤の拡大等が貢献し、前年同期比で大幅な増収増益を達成」と記している。
さらに顧客数とステーキングサービスの好調な推移もあげており、顧客数は前年同期末から33.3%増、前四半期末から10.1%増。ステーキングサービスについては「大口の移管も増加」としている。
マネックス:相場活況時に大きく利益を出せる損益構造を維持
マネックスグループは7月26日に決算説明会を実施。取締役会議長兼代表執行役会長の松本大氏と取締役 兼代表執行役社長CEOの清明祐子氏が登壇した。
同グループはクリプトアセットセグメントの業績推移について、決算説明資料に「市場ボラティリティが低下しトレーディング収益が減少した一方、当四半期はIEO収益を計上。費用コントロールを継続し、相場活況時に大きく利益を出せる損益構造を維持」と記している。
営業収益は31.13億円。1月にアメリカでビットコインETFがスタートし、市場が活況を呈した前四半期(2024年1月〜3月)の44.20億円からは減少しているが、前年同期の11.78億円から164%増となった。税引前利益も6.44億円となり、前年同期の△3.96億円から大きく改善している。
マネックスグループでクリプト事業を推進するコインチェックは2023年1月に法人向けサービス「Coincheck for Business」を開始。2024年5月には、上場企業子会社による初のIEOとしてブリリアンクリプトトークン(BRIL)のIEOを手がけた。同社にとっては、法人事業をトレーディングと並ぶ収益の柱とできるかどうかが重要になるだろう。その意味では、次のIEO案件はひとつの試金石となる。
第2四半期はボラティリティが上昇か
すでに1カ月が経過した2025年3月期第2四半期(7〜9月期)は、7月29日にビットコイン(BTC)半減期から100日が経過し、また米大統領選でビットコインがひとつの争点となるなど、市場の盛り上がりが期待されている。
だが現状、中東での地政学的リスクの高まりや、米国株式市場の下落を受けて、ビットコインをはじめ、暗号資産市場は広く下落している。日本時間5日11時頃には、ビットコインは5万5000ドルを割り、24時間で10%近い下落となっている。第2四半期はボラティリティの大きな展開となりそうだ。
|文:増田隆幸
|画像:CoinDesk JAPAN編集部
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