- ビットコイン先物はスポット価格と同額もしくは僅かなプレミアムで取引されている。
- プレミアムの下落は、キャッシュ・アンド・キャリー・アービトラージ戦略の魅力に対して水を差すものだ。
直近のビットコイン(BTC)価格急落により、先物価格とスポット価格の差が縮小し、2つの市場の乖離から利益を得ようとするキャリートレードの魅力が損なわれている。
時価総額で首位の暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは、24時間(記事執筆時点)で18%以上急落して5万ドル(約730万円、1ドル=146円換算)に達し、2024年2月以来の最低水準に届いた。世界市場における広範なリスク回避の一環である今回の売りは、リスクに抗する日本円の急騰と米国債券市場の不安定さが原因と思われる。
ベロデータ(Velo Data)によると、大手暗号資産取引所バイナンス(Binance)の年率換算3ヶ月先物プレミアムは3.32%まで下落し、2023年4月以来の低水準となった。暗号資産取引所のOKXとDeribitも同様に先物プレミアムが下落している。
キャッシュ・アンド・キャリー・アービトラージ戦略の旨み減
一方、機関投資家に好まれるシカゴ・マーカンタイル取引所の先物は、現在スポット価格とほぼ同じ水準で取引されている。
つまり、現物市場または米国上場ETFのロングポジションと同時に先物を売るという古典的なキャッシュ・アンド・キャリー戦略のリターンは、今や米国債10年物以下か同等ということだ。
この戦略は、先物が20%以上のプレミアムで取引された第1四半期には、機関投資家の間でかなり人気があり、スポットETFへの資金流入の中でも相当な割合を占めていたと思われる。
|翻訳・編集:T.Minamoto
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|原文:Bitcoin Price Crash to $50K Dashes Carry Traders’ Hopes