- SECは、コインベースがゲーリー・ゲンスラーSEC委員長の記録をあまりに深く掘り下げようとし過ぎたと連邦判事に訴えた。
- SECが証券法違反でコインベースを提訴している裁判で、SECは最新の書類を提出。
米証券取引委員会(SEC)の弁護士らは、暗号資産(仮想通貨)取引所のコインベース(Coinbase)による「驚くほど広範な」召喚状の要求に反対している。この要求は「暗号資産に関する基本的にすべての文書」を探し求めている。
8月5日に提出された法廷文書は、SECとコインベースの間で続いている争いの最新のもの。コインベースは、SECを相手にした今後の裁判で同社の弁護に役立つ可能性のあるコミュニケーションやその他の記録を求め、SECやゲンスラー委員長を含む職員に対して召喚状を発行することを試みた。
SECは昨年、コインベースに対して民事告発を起こし、未登録の証券取引所、ブローカー、清算機関として運営しているとして非難。また、ステーキング商品に関して未登録の証券販売でコインベースを起訴した。
4月、コインベースは最初の文書提出要求をSECに通知。その2カ月後、コインベースはSECに対し、ゲンスラー氏の暗号資産に関する個人的なコミュニケーションも召喚する予定だと伝えた。このコミュニケーションは、ゲンスラー氏のSEC委員長の在任期間に加え、委員長に任命されるまでの4年間も含む。また、ゲンスラー氏がSECに加わる前にブロックチェーン技術に関する講義を行っていたマサチューセッツ工科大学(MIT)にも同様の召喚状を送付。しかし、コインベースは最近、ゲンスラー氏の職務外の記録は求めないとニューヨークの裁判所に通知した。
ゲンスラー氏の個人的なコミュニケーションの要求は、SECにとっては行き過ぎたものだったようで、SECは召喚状を「明白に不適切な行為」と表現。6月28日、SECは裁判所への書簡で、この裁判を担当するニューヨーク州南部地区連邦地裁のキャサリン・ポーク・ファイラ判事に対し、コインベースの要求を拒否すべきだと主張した。
ファイラ判事は、7月11日に電話による公判前会議を開くよう指示し、コインベースの要求について話し合った。同判事は当初から、コインベースがゲンスラー氏の個人的なコミュニケーション、特に同氏がSEC委員長に任命される前のコミュニケーションを要求していることに困惑しているようだった。
「私は少し驚き、それは良い意味ではない」とファイラ判事は7月11日のコインベースの動議について述べた。「少なくとも7月3日の回答で表明された主張は、愚かなものだ。私は基本的にどの主張にも心を動かされなかった」
ファイラ判事は、コインベースの要求を白紙の状態に戻し、両当事者が証拠開示(ディスカバリー)の論争を解決するための出発点として、強制開示の申し立てを提出するよう同社の弁護士らに命じた。会議後、コインベースは7月23日に強制開示の申し立てを裁判所に提出し、要求の範囲を若干狭めたが、基本的にはその立場を貫いた。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:コインベースのブライアン・アームストロングCEO(左)とSECのゲーリー・ゲンスラー委員長(右)(CoinDesk)
|原文:SEC Asks NY Court to Deny Coinbase’s ‘Breathtakingly Broad’ Subpoena Request