イーサリアム現物ETF、ETH価格急落で4900万ドルの純流入を記録
  • 価格が20%急落したにもかかわらず、アメリカに上場されているイーサリアム現物ETFには月曜日、約4900万ドルの純流入があり、強い需要を示している。
  • 一方、価格下落に直面してもイーサリアムネットワークが回復力を発揮し、ファンダメンタルズが強いことを示していると指摘する声もある。

イーサリアム(ETH)現物ETF(上場投資信託)は8月5日、価格が20%下落する中、約4900万ドル(約71億円、1ドル=145円換算)の純流入を記録し、時価総額第2位のトークンに対する需要を示した。

著名な暗号資産(仮想通貨)取引会社Jump Cryptoが売却に備えて大量のイーサリアムを集中型取引所に移動させたため、イーサリアム価格は月曜日に20%も暴落し、2021年以来の1日で最大の価格下落を記録した。ETHの先物は3億4000万ドル(約493億円)以上が清算され、暗号資産市場全体のヘアカットが売り圧力に貢献した。

しかし、プロの投資家はディップを買ったようだ。SoSoValueが追跡したデータによると、イーサリアム現物ETFは7億1500万ドル(約1037億円)以上の取引があり、7月30日以来の高水準となった。ブラックロック(BlackRock)のETHAが4700万ドル(約68億円)の資金流入でリードした。フィデリティ(Fidelity)のFETHとヴァンエック(VanEck)のETHVはそれぞれ1600万ドル(約23億円)の資金流入を記録した。

グレイスケール(Grayscale)のETHEは4600万ドル(約67億円)の資金流出を記録した唯一の商品で、小規模なイーサリアム・ミニ・トラスト(ETH)は700万ドル(約10億円)の資金流入を記録した。

しかし、7月23日に取引が開始されて以来、これらの商品は4億6000万ドル(約667億円)の純流出を記録しており、イーサリアム現物ETFに対する長期的な需要がまだ十分に現れていないことを示している。これとは対照的に、ビットコイン現物ETFは取引開始から12日間で10億ドル(約1450億円)以上の純流入を記録した。

ETFのフローは市場動向の把握に役立ち、投資家がどこに資金を投入しているかを大まかに示す。

一方、一部の市場オブザーバーは、イーサリアムのネットワーク上に構築されたアプリケーションが急落の中で回復力を示したことを指摘した。

「イーサリアムの不均衡な価格下落は、主にJump Cryptoの売却と他のクジラの清算によって引き起こされた」と、CoinMarketCapのリサーチリーダー、アリス・リュー(Alice Liu)氏は、電子メールでCoinDeskに述べた。「良い点としては、『LSDfi』がストレステストに耐えた。リド(Lido)の引き出しキューに大きな増加はなく、別のプロジェクトに依存するリキッドステーキングもない」。

LSDFiはリキッドステーキング向けデリバティブファイナンスのことで、ステーキングとデリバティブをあわせたの口語的な用語だ。このプロセスは、デリバティブトークンを通じて流動性を維持しながらユーザーが報酬を獲得できるようにする一連のブロックチェーンベースの活動を指す。

「ETHにとってもう一つの明るい点は、最近の清算によりDeFi市場が復活したようで、ネットワーク上でDeFiの活動が大幅に増加し始めたことだ。ガス料金も、今日記録された370Gweiの後、10~15Gweiのより管理しやすいレベルに戻った」とリュー氏は、ユーザーがイーサリアムネットワークの使用に支払う料金に言及した。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Ethereum ETFs Scored $49M Inflows as ETH Plunged