ビットコイン、日銀副総裁の発言で売り圧力が一時後退か──チャート上は弱気シグナルが出現
  • 日銀の内田副総裁は、市場が乱高下する状況で利上げすることはないと述べた。
  • 内田副総裁の発言後、円は下落、一方、ビットコインと株式先物は上昇した。
  • ビットコイン相場はテクニカル分析上、「デスクロス」と呼ばれる弱気シグナルが出現しているが、今後の価格動向はチャート分析理論には当てはまらない可能性が出てきた。

ビットコイン(BTC)の弱気のテクニカルパターンであるデスクロスが迫っている。だがデスクロスはまた、逆の指標となるようだ。市場は、2023年9月のように強気な値動きを予感させている。

これは、日本時間7日午前に日本銀行の内田真一副総裁が、市場が不安定な状況で利上げすることはないと発言したためだ。発言によって、「円キャリートレード」の解消が続く可能性は小さくなり、ビットコインを含むリスク資産におけるリスク回避の動きが和らぐ結果となった。

内田副総裁は北海道函館市で開かれた経営者向けの講演で、「当面、現在の水準で金融緩和を続ける必要がある」と述べた。

他の状況が変わらなければ、このコメントは、ビットコインの50日単純移動平均(SMA)が200日SMAを下回るデスクロスが迫っているにもかかわらず、ビットコインの下落リスクが限定的であることを意味する。

円安が145円から148円まで進行するなか、ビットコインは内田氏のコメントを受けて堅調に推移し、一時5万7300ドルを突破した。また日経平均も4%上昇し、リスクリセットを示した。

「日銀は『円プット』を進め、日経平均はナスダックとS&Pを下落前の水準まで押し上げるだろう」と、匿名の市場関係者のGlobal MacroはXに投稿した

円キャリートレードは、安い円を借り入れ、メキシコペソのような高利回りの通貨やリスク資産に投資する投資戦略のこと。日銀がゼロ金利を維持する一方で、FRBを含む他の中央銀行はインフレ対策として金利を急速に引き上げていたため、この戦略は近年、非常に人気があった。

しかし7月31日、日本銀行は金利を引き上げ、金融緩和政策を17年ぶりに解消した。このタカ派的な動きは、キャリートレードの巻き戻しを引き起こし、広範なリスク回避を引き起こした。ビットコインは5日までの5日間で6万6000ドルから5万ドルまで急落した。

「7月16日までに、株式市場や他の多くのリスク資産市場はピークに達した。何らかの理由で、これらの資産市場は売られ始めた。売りが続くなか、最近円キャリートレードに参加した人たちの資産は減少、ほとんどの場合、それは巻き戻しの引き金となる。そしてさらに悪いことに、円はゆっくりと上昇を始めた。それが巻き戻しの始まりになった」とDamped Spring Advisorsのアンディ・コンスタン(Andy Constan)CEOはXに投稿した。

「円キャリートレードの巻き戻により、円買い・リスク資産売りのフローをもたらす。リスク資産の売却は、円にエクスポージャーをまったく持っていない、より大規模なレバレッジ投資家にも影響を与え、彼らもまたマージンコール(追い証)を受けることになった」と同氏は付け加えた。|

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
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|原文:Bitcoin’s Impending ‘Death Cross’ May Trap Bears as Bank of Japan Eases Rate Concerns
※編集部より:タイトルと本文を修正して、更新しました。