1.5兆ドル(約218兆円、1ドル=145円換算)規模の資産運用会社であるフランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)は、同社のオンチェーン米国政府マネー・マーケット・ファンド(FOBXX)が、レイヤー2のブロックチェーンのアービトラム(Arbitrum)を通じてイーサリアム上で利用できるようなったと、現地時間8月8日に発表した。
ファンドの株式が取引できるブロックチェーンとしては3例目となる。これまでは、ステラ(Stellar)とイーサリアムのもう一つのレイヤー2ネットワークであるポリゴン(Polygon)でトークン化されていた。
フランクリン・テンプルトンの広報担当者はCoinDeskに対し、「ステラ・ネットワークは、FOBXXの公式な所有記録」であり、「同ファンドはまた、要請があれば、適格性に応じて、特定の口座でポリゴンとアービトラムのネットワークを使用することができる。アービトラムはまず、機関投資家のウォレットで利用可能となる予定だ」と明かした。
同社は、この事業拡大は分散型金融を伝統的な金融システムへと統合させる一助となり、FOBXXをきっかけにして同社が新たな顧客を獲得するのに役立つだろうと述べた。
フランクリン・テンプルトンのデジタル資産部門責任者であるロジャー・ベイストン(Roger Bayston)氏は発表文の中で「アービトラムのエコシステムへ足を踏み入れたことは、ブロックチェーン技術で我々の資産運用能力を強化する旅における重要な一歩となる」と語っている。
パブリック・ブロックチェーンで初
2021年にローンチされたこのファンドは、取引と所有権を記録するためにパブリック・ブロックチェーンを使用した最初のファンドである。rwa.xyzのデータによると、時価総額は4億2000万ドル(約609億円)で、米国債に連動するオンチェーン商品としては3番目に大きい。
それ以来、他のいくつかの企業が、自社のファンドをブロックチェーンのレールに乗せることで、現実資産(RWA)のトークン化を推進している。世界最大の資産運用会社であるブラックロック(BlackRock)や、暗号資産(仮想通貨)のスタートアップ企業であるセキュリタイズ(Securitize)やオンド・ファイナンス(Ondo Finance)などがその代表例で、いずれも近年トークン化されたファンドを立ち上げている。
ブラックロックの米ドル機関投資家向けデジタル流動性ファンド (BUIDL)は時価総額で最大のファンドである。BUIDLはイーサリアムのメインチェーン上で運営され、セキュリタイズはトークン化された株式を管理し、公式な所有者記録を保持している。
|翻訳・編集:T.Minamoto
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|原文:Franklin Templeton’s Tokenized Money Market Fund Expands to Arbitrum