米国予測市場への規制案に反対意見──コインベース、ドラゴンフライら
  • 米商品先物取引委員会(CFTC)が発表した予測市場に関する規則案に対して、暗号資産業界の内外から様々なコメントが寄せられた。
  • 暗号資産業界からは、直近の最高裁判決を考慮すると、今回の規則案は過度に広範囲にわたり、行き過ぎているとの声が上がっている。

ドラゴンフライ・デジタル・マネジメント(Dragonfly Digital Management)およびCrypto.comは、暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)と共に、米商品先物取引委員会(CFTC)が提案した予測市場に関する規則に対して批判を行った。

批判の内容は、CFTCの規則案による特定のイベント・コントラクトの分類および禁止が広範囲に及んでいるというものだ。それには、選挙やゲームに関係するものも含まれている。なお、コインベースはCFTCによるゲームの定義があまりにも曖昧であるとしている。そして、この行き過ぎた行為は法的権限を超えており、イノベーションを阻害し、これらの契約がもたらす経済的利益を無視するものだとの懸念が表明されている。

「政治的イベント・コントラクトは、スーパーボウルのような運に左右される勝負へのギャンブルと同列に扱うべきではない。むしろ、選挙は重要な経済的意味を伴う」と、ドラゴンフライのジェシカ・ファー(Jessica Furr)氏とブライアン・エデルマン(Bryan Edelman)氏はCFTCに対する書簡で述べている。「こうした契約は、商品取引所法(CEA)の要件に沿って、重要なリスクヘッジ機能を果たすように設計されており、一般大衆に対して貴重な予測データを提供するものだ。」

ドラゴンフライはまた、CFTCの規則案は、適切な評価をすることなく予測市場を広範囲にわたって禁止しており、特に連邦議会の関与なしに当局の解釈による権限に対して制限を加える直近の米最高裁による「シェブロン(Chevron)」判決を考慮すると、行き過ぎであると主張している。

CFTCは3段階の審査手順を踏む必要がある

Crypto.comの資本市場担当特別バイスプレジデントであるスティーブ・ヒューメニック(Steve Humenik)氏は、予測市場を禁止しようとするCFTCの試みは、3段階の手順を始めとした、CEAが定める規則の制定手続きに違反していると述べる。

CEAによると、この3段階の手順に則って、CFTCは禁止を行う前に、当該契約が除外商品を含むかどうか、特定行為に関与しているかどうか、公共の利益に反するかどうかを評価する必要がある。

ヒューメニック氏は文書で「CFTCは、対象とするコントラクトが除外商品を下敷きとしていると判断する根拠を明確に示さなければならない。これは当然の結論であってはならない」と、そして「CFTCがこの種のイベント・コントラクトに関して、3段階の審査手順を踏む義務を回避せず、イベント・コントラクトに関する規制制定案のこうした側面を無くすよう強く求める」と述べている。

この問題については、暗号資産業界の関係者以外からも発言がなされている。

UCLAのジョセフ・フィッシュキン(Joseph Fishkin)法学教授は、予測市場は世論や政治的出来事に対する貴重な洞察を提供するものであり、米国でそれを締め出すような規制をすべきではないと述べる。

フィッシュキン教授は「予測市場は、政治、ニュース・メディア、政治的な『社会通念』、そして群衆がある種の政治的予測について常に間違いを犯す度合いについて、私たちの理解を厚くしてくれるものと考え」ており、「この国において、予測市場が存在しなくなるような規制がなされないことを望んでいる」と文書で表明している。

|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:Jesse Hamilton/CoinDesk
|原文:Dragonfly, Crypto.com Weigh in on CFTC’s Proposed Prediction Market Rules