金融安定理事会(FSB=Financial Stability Board)の声明によると、世界経済をけん引する各国はステーブルコインを国際金融システムに対する潜在リスクだと評価している。
2019年10月13日(現地時間)のG20財務大臣と中央銀行総裁への書簡で、FSB議長、ランダル・クォールズ(Randal Quarles)氏はG7のワーキンググループが世界のステーブルコインがもたらす機会と課題についての評価報告書を用意していると述べた。
G20 の首脳らは以前に暗号資産は国際金融の安定性へ脅威をもたらさないとしていたが、議長は書簡で世界のステーブルコインの導入は規制の効いたコミュニティに「多くの課題」をもたらす可能性があると述べた。
規制当局はデータのプライバシーや保護、AML/CFT(マネーロンダリングやテロ資金利用への対策)やKYC(本人確認)コンプライアンス、脱税、適正競争、市場の公正性といったステーブルコインに起因する様々な問題を提示している。
書簡では特定のステーブルコインの例示はしていないものの、主要経済国は発行が見込まれているフェイスブック(Facebook)の仮想通貨Libra(リブラ)へ懸念を呈している。
2019年10月14日(現地時間) のBBCの報道によると、G7ワーキンググループのステーブルコイン報告書の草稿では、リブラ支援者がこのような懸念に対処できたとしても、プロジェクトは規制当局からの承認が得られない可能性があると警告している。
「このようなリスクに対処することが、ステーブルコインの取り決めについての規制当局の承認を必ずしも保証するものではない」とG7の報告書草稿では述べられている。
ビザ(Visa)、マスターカード(Mastercard)、ペイパル(Paypal )、ストライプ(Stripe )といった大手決済会社がリブラプロジェクトから撤退した後、フェイスブックへの圧力は高まっている。
FSBは今週、2019年10月のG20財務大臣・中央銀行総裁会議に対して、世界のステーブルコインに関する課題をまとめた公式文書を提出予定だ。「G7のワーキンググループは規制に関する課題をFSBに引き渡す予定であり、我々はすでにこの分野で作業を開始している」とクォールズ氏は述べた。
G20首脳らがFSBに最近のステーブルコインの発展を踏まえ、必要に応じて追加で多国間における反応につき助言を求めたことを受け、今回の評価が行われた。
翻訳:下和田 里咲
編集:T.Minamoto
写真:Libra and bank notes image via CoinDesk Archive
原文: G7 Evaluates Stablecoins as Risk to Global Financial Stability