メタマスク、マスターカードらと提携したブロックチェーンベースのデビットカードを提供開始
  • メタマスクカード(MetaMask Card)は、EUとイギリスの数千ユーザーを対象に試験的に提供され、2024年後半に幅広く展開される予定。
  • ユーザーは、レイヤー2ネットワークのLinea上に保有するUSDC、USDT、wETHでダイレクトにモノやサービスを購入できるようになる。

イーサリアムブロックチェーンの人気セルフカストディ・ウォレットのメタマスク(MetaMask)は、決済大手マスターカードおよび暗号資産決済のBaanxと共同開発したブロックチェーンベースのデビットカードの提供を開始する。

「メタマスクカード」は、当初は「デジタル専用カードの数千枚の限定パイロット版」として、EU諸国およびイギリス在住のユーザーに提供される予定と、メタマスクは14日、米CoinDeskに語った。同社は、今年後半にさらに幅広い展開を計画しており、EUおよびイギリスでは「全面展開」を行い、今後数四半期にわたって他の地域でもパイロット版を立ち上げる予定だ。

伝統的な金融サービスとブロックチェーンベースの暗号資産(仮想通貨)の融合はますます進展している。世界的な大手金融機関が債券やクレジットといった伝統的な金融商品をトークン化し、資産運用大手がビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のETFの提供を開始するなか、大手決済企業はブロックチェーン技術を従来の金融テクノロジーに導入する方法を模索している。

マスターカードは、Web3決済の取り組みでBaanxと提携し、ハードウェアウォレット企業レジャー(Ledger)や分散型取引所(DEX)の1inchなどの暗号資産プラットフォームと従来の決済を結びつけている。一方、ライバルのビザ(Visa)は、クロスボーダー決済の迅速化を目指し、ステーブルコインUSDCを発行する米サークル(Circle)およびソラナ(SOL)ネットワークと提携している。

3月、米CoinDeskは、メタマスクがマスターカード、Baanxと提携して、ブロックチェーンベースの決済カードのテストを行っていると伝えた。

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「セルフカストディ・ウォレットのユーザーがより簡単に、より安全に、相互運用性のある形で買い物ができるようになることに大きなチャンスがあると考えた」と、マスターカードのブロックチェーン・デジタル資産担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのラジ・ダモダラン(Raj Dhamodharan)は述べた。

「携帯電話にアクセスできる人なら誰でも、デフォルトで基本的な金融サービスを利用できるべきだ」とBaanxの最高商務責任者(CCO)のサイモン・ジョーンズ(Simon Jones)氏。

「銀行口座を持たない人や銀行口座を十分に活用できていない人が多い国々にとって、きわめて大きな意味があるだろう」

このカードは一般的なデビットカードと同様の機能を持つが、メタマスクに保有している暗号資産で直接モノやサービスが購入できる。

ユーザーは、メタマスクの開発元であるコンセンシス(Consensys)が開発したイーサリアム・レイヤー2のLineaブロックチェーン上に保有するUSDC、USDT、wETHを使用することができる。

「人々は自身の資産をより自由に使うことができるようになる。今回のケースでは、暗号資産だ」と、コンセンシスのシニアプロダクトマネージャー、ロレンツォ・サントス(Lorenzo Santos)氏は述べた。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:MetaMask
|原文:MetaMask Starts Rollout of Blockchain-Based Debit Card Developed With Mastercard, Baanx