ステーブルコインの成長は暗号資産市場全体の成長を反映:JPモルガン
  • ステーブルコインの成長は、今年のビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の上昇に続く暗号資産(仮想通貨)市場全体の時価総額の増加を反映していると、JPモルガンのレポートは説明している。
  • JPモルガンは、暗号資産全体の時価総額に占めるステーブルコインの割合はほとんど変化していないと指摘。
  • JPモルガンによれば、ETFの登場と欧州における規制の明確化が、投資家をステーブルコインに引きつけている。

ステーブルコインの米ドル建て供給量は増加しているが、その拡大は暗号資産市場でのシェア拡大を意味するものではなく、むしろ暗号資産全体の時価総額の増加を示していると、JPモルガンは8月14日発表のリサーチレポートで述べている。

ステーブルコインは暗号資産の一種で、通常は米ドルにペッグされているが、金など他の通貨や資産と連動するものもある。

ニコラオス・パニギルツォグルー(Nikolaos Panigirtzoglou)氏率いるアナリストチームは、「暗号資産の時価総額全体に占めるステーブルコインの市場シェアにはほとんど変化がない」と指摘している。

JPモルガンによれば、ステーブルコインの時価総額は1650億ドル(約24兆5850億円、1ドル149円換算)に回復し、Terra/Luna(テラ/ルナ)の破綻前に記録した1800億ドルの過去最高値に近づいている。

このようなステーブルコイン市場の成長にはいくつもの理由がある。

今年、ビットコインとイーサリアムの価格が大きく上昇したことで、暗号資産市場の時価総額が増加。ステーブルコインは「暗号資産の貸し借りや他の暗号資産取引で担保として機能する」ため、ステーブルコインの供給量の増加につながったと、JPモルガンのレポートは指摘する。

さらに、1月に米国でビットコインETF(上場投資信託)がローンチされたことを受け、投資家は暗号資産市場へのアクセスにステーブルコインを利用する傾向が強まっているとJPモルガンは指摘した。ステーブルコインに対しては、伝統的金融業界からの需要も増えている。

今年は、エセナ(Ethena)のUSDeのような新しいステーブルコインも登場し、これも成長に寄与しているとJPモルガンは述べた。さらにヨーロッパで7月1日にMiCA法が導入され、規制が明確化されたことも、投資家をステーブルコインに引き付けたという。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Stablecoin Supply Growth Isn’t Eating Into Crypto Market Share: JPMorgan