米証取委とトロン財団の法廷闘争で書簡の応酬──依然、係争中
  • トロン財団と創設者ジャスティン・サン氏を相手取った米証券取引委員会による訴訟で、連邦判事は同委員会の法的戦術を却下した。
  • 両者は依然としてニューヨーク南部地区連邦地方裁判所で係争中である。

トロン財団(Tron Foundation)と創設者ジャスティン・サン(Justin Sun)に対する進行中の証券詐欺訴訟において、公判前協議を強制するか、追加の答弁書の提出を要求するという米証券取引委員会(SEC)の要請は、米ニューヨーク州の判事によって却下された。

被告であるトロン財団、ジャスティン・サン氏、ビットトレント財団(BitTorrent Foundation)、旧称ビットトレントのレインベリー(Rainberry)側の弁護人に対し、弁護の際に議論を不適切に進め、適正な手続きに則っていないとしてSECは非難していた。

SECは米国時間8月12日に裁判所に提出した書簡の中で、以下のように訴えている。すなわち、被告がすでに5月30日に訴訟棄却の申し立てを提出した後、被告側の弁護においてさり気なく新たな主張が持ち込まれようとしているとSECは非難したのである。その主張とは、トロン(TRX)とビットトレント(BTT)を売ったことがハウィーテストにおける「共通の事業」基準を満たしていないというものだ。このハウィーテストは、取引が投資契約に当たるかどうかをSECが判断するうえで用いる方法である。

トロン側の反論

トロン側の弁護士はSECの書簡に返す刀で、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所(SDNY)のエドガルド・ラモス(Edgardo Ramos)判事に宛てた独自の書簡を作成して、SECが「論争を捏造しようとしている」と非難し、SECの公判前協議の要請を却下するよう裁判所に求めた。

トロン側の弁護士は、BTTとTRXを売ったことは、ハウィーテストの3番目の基準である、他人の努力によってもたらされる利益を期待するという点を、満たしていないとする信念が弁護の大きな拠り所であると繰り返し述べた。また同時に、追加の答弁書の提出許可を求めたSECの書簡が「本件の文脈におけるハウィーテストの3番目の基準に関する被告の主張を誤解し、無視している(その点が太字と斜体で記されていたにもかかわらず)」と主張した。

「実際、SEC が様々な(それまでの答弁書では取り上げられていない)「共通の事業」基準に関するテストについて取り上げた再答弁書を提出する許可を得た場合、被告は、この新しい問題に対する立場を述べるために再々答弁書を提出する必要がある」とトロン側弁護士からの書簡には記されている。「言い換えれば、SEC は自らが好き勝手に出した問題に対応するために3通要求している。」

ラモス判事は最終的にトロン側弁護士の立場を取り、米国時間8月19日にSECの要求を却下する判断を下した。

「ハウィーテストの『共通の事業』に関する要素に対して異議を唱えていないことを被告側が認めたため、SEC側の書簡で時宜を得ない主張についてや、または再答弁書を提出する許可について求められていたが、これらは却下される。」

トロン側の代表者は「係争中の法的問題」だとしてコメントを差し控えた。

|翻訳・編集:T.Minamoto
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|原文:NY Judge Rejects SEC’s Efforts to Stymie Tron’s Arguments in Ongoing Securities Suit