「Yay!」のナナメウエ、「Yay! ステーキングキャンペーン」開始──流動性ステーキングを身近に

日本発のSocialFiを目指す「Yay!」を運営するナナメウエは8月22日、Yay! Web3エコシステムの基盤を強化するために設計された「Yay! ステーキングキャンペーン」を8月28日午後10時(日本時間)に開始すると発表した。「Yay!」は、2020年1月にスタート。「好きでつながるバーチャルワールド」を掲げ、リリースによると現在、900万人以上が利用しているという。

ナナメウエは昨年11月、「Yay!」に4種類のトークンを導入し、Yay!にGameFi的なWeb3機能を組み込むことを説明した「YAYホワイトペーパー」を発表している。今回の「Yay! ステーキングキャンペーン」は、その第一歩となるものだ。

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「Yay!」のトークノミクスは、持続可能な事業展開とWeb3マスアダプションを目指して巧妙に、精緻に組み立てられている。詳細はホワイトペーパーに譲るが、ごく簡単に説明すると、従来のWeb2ユーザーに気軽に(ウォレットなどを意識せずに)、無料で楽しんでもらうためのFree to Play機能と、そこから一歩進んでWeb3的な楽しみ方をしてもらうためのPlay to Earn機能の2層構造になっている。Free to Playでユーザーを集め、Play to Earnに移ってもらうという構造は、いまや定番だが、それを実現するために4つのトークンが導入される。

・YAY(ガバナンストークン)
・EMPL(ユーティリティトークン)
・Yay! Genesis(PalをミントできるNFT)
・「Yay! Pal」(Play to Earn用NFT)

なかでもYay! Genesisは、Yay!内で「Yay! Pal」を供給するという重要な役割を持つという。Yay! Genesisホルダーは、Yay!内で、いわばブロックチェーンにおけるバリデーターのような役割を果たす。具体的には、イーサリアム(ETH)をYay!を通じてステーキングすることで、Yay!にPalを供給する。一方、Web2ユーザーは、供給されたPalを無償で取得して、プレイし、ユーティリティトークンのEMPLを稼ぐことができる。

Yay!のトークノミクスを支えるYay! Genesisホルダーの存在が、Yay!のトークノミクスの肝であり、今回のキャンペーンは、トークノミクスの基盤となるYay! Genesisホルダーを集める施策と言える。キャンペーン参加者は、参加者はステーキングの量と期間に応じて、プロトコルポイント、利回り、Yay! Gold、さらに後日、詳細が公開される予定のポイントなどの報酬を獲得できるという。

「流動性ステーキング」を身近に

ステーキングは、保有している特定の暗号資産を預け入れることで収益を得る暗号資産の資産運用方法だ。イーサリアムがPoSに移行したことでステーキングが可能になり、より一般的になった。だが、イーサリアムの場合、最低32イーサリアム(約800万円)が必要で、一般ユーザーにはハードルが高い仕組みだった。

そこで、ユーザーから小口の資産を集めて、代わりにステーキングを行い、獲得した報酬をユーザーに分配する「流動性ステーキング(リキッドステーキング)」と呼ばれるサービスが登場し、大きな人気を集めている。

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「流動性ステーキング」は、少額でもステーキングに参加できるうえ、ステーキングと引き換えにトークン(流動性トークンと呼ばれる)が発行され、流動性トークンを使って、DeFi(分散型金融)プロトコルで、さらに追加の利回りを稼ぐことができる。

日本では、DeFiがまだ一般的ではないため、「流動性ステーキング」は広がっていない。暗号資産取引所が売買とは異なる、新しいサービスとして暗号資産のステーキングサービスを提供している状況だ。

そうした視点で捉えると、「Yay! ステーキングキャンペーン」は、日本で「流動性ステーキング」を始める機会と考えることができる。

Yay!は今回、流動性ステーキングプロトコルの「StakeStone」と提携して、キャンペーンを開始する。今後は、他のプロトコルも追加し、参加者は、Yay! Dashboardから「Vault(プロトコルパートナー)」を選択できるようになるという。

Yay!が導入を目指すトークノミクスの全容は、精緻であるがゆえに、理解するのは正直難しい(興味を持った方は、ぜひホワイトペーパーを読んでみてほしい)。だが消費者向けサービスにステーキング(流動性ステーキング)を組み込む事例は、日本では初めてではないだろうか。

昨年、ホワイトペーパーの公表時に、代表取締役の石濵嵩博(いしはま たかひろ)氏は、さまざまなトークノミクスが発表されているが「実際に相応のユーザー数を抱えている仕組みをもとにマスアダプションを実現できるのは、私たちだけと考えている」と述べている。

|文・編集:増田隆幸
|画像:リリースより